小出祐介×ハマ・オカモト、実写映画『ジョジョの奇妙な冒険』対談 大の原作ファンはどう観た?

小出祐介×ハマ・オカモト『ジョジョ』対談

ハマ「納得できる要素がビックリするぐらい多かった」

――フルCGによる「スタンド」の表現は、どうでしたか?

小出:良かったですね。同じ画面に実写の人間とアニメ的な存在が一緒にいるって、実写映画として難しい場面なんだと思うんですよ。

ハマ:しかも、アクション部分は基本的にスタンドという見えない実体が担うわけで。そんな映画、他にないですよね。

小出:だけど、それを操作する能力者だっていうふうに、役者も見せなきゃいけないわけで。

――スタンドに殴られて、人間が吹っ飛んだりしますしね。

小出:Blu-ray/DVDに収録されているメイキング映像も観させてもらいましたけど、演技としても大変だと思うんですよね。

ハマ:スタンドを出してるふうの立ち居振る舞いをしないといけないわけですしね。

小出:で、それがこの映画の見せ場でもあるわけですけど、さっきも言った緊張感がここで効いてくるんですよね。スタンド同士の戦いをハラハラしながら観てました。

――あとは、衣装も含めた美術とロケーションですよね。

ハマ:確かにすごかったです。なんか漫画と同じ「杜王町」感がありました。

小出:あのロケ地を日本国内で見つけるのは、多分無理ですよね。

――それこそ、全部セットで作らないと。

小出:そう、それを作るくらいだったら、外国に行ったほうが早いだろうっていう、三池監督の発想がナイスですよね。原作の杜王町とはちょっと趣きは違うんだけど、実写の置き換えとしては十分というか。あの街並みをよく外国に再現しましたよね。

ハマ:普通に交番なんかもありましたしね。

――メインのロケ地は、スペインのシッチェスでした。そこで撮ろうっていうのは、ある意味大胆な発想ですよね。

ハマ:本当にそうですね。だから、実際に観るまではあまりつながらなかった情報が、映画を観ることで自分の中で全部つながったというか。そもそも最初に「スペインで撮ります」と聞いたときは、やっぱり「えっ?」ってなるじゃないですか。ただでさえ実写化でビビっているのに、「スペイン?」、「なぜ?」というか(笑)。

小出:ね(笑)。

ハマ:でも、だからこそ、みんな観てほしいと思いました。

小出:うん。騙されたと思ってね。

ハマ:実際に観てみれば、いろいろな情報が全部ピタッとハマるので。

――とりあえず、実際に観るのが、いちばん早いと。

小出:うん、ホントにそう思う。

ハマ:やっぱり、本物の人間がやったらこうなるんだよねという説得力があるというか、納得できる要素がビックリするぐらい多かったので。そこは、実際に観ないとわからないところですよね。本当に当たり前のことなんですけど。

――まあ、「あらすじ」を説明しても、しょうがないというか。

小出:確かに(笑)。

ハマ:あらすじだけみたらもうわけわかんないですからね。というか、漫画的には、第4部にあたる話で……映画は、いきなりそこから始まる(笑)。

小出:スタンドの説明とか、結構すっ飛ばしてるからね。

ハマ:承太郎とか、誰なんだっていう。

小出:僕らは、原作を知ってるっていう積み重ねの上で観てるから、細かいところもちゃんと回収できるけど、原作をまったく読んだことのない人に、この映画のあらすじを説明するのは、かなり難しいかもしれない(笑)。

ハマ:僕、てっきり『スター・ウォーズ』的な説明が映画の最初に入ると思っていたんですよ。一応、1部、2部、3部があって、これは血縁をめぐる話であるといった感じで……。

小出:ここまでの経緯がね。

ハマ:はい。流石にそれぐらいあるだろうなと思ったら、きれいになくてビックリしました(笑)。

小出:そうだよね(笑)。

ハマ:でも、そこが潔くていいなとも思いました。それぐらいじゃないと、逆に混乱してしまうというか。たぶん、シリーズものに新しい人が入りにくいのは、そこが一つの大きな理由じゃないですか。長く続いているシリーズだと、その前の話を知らないから観ないほうがいいかなと思ってしまう人も、きっと多いでしょうし。

小出:これを敢えて「第4部」とせず、「第一章」としたのは、正解かもしれないよね。でもさ、知らずに観に行ったら、立てこもり犯が、縦に長い髪型のお兄さんに矢で射抜かれて、その事情聴取中に水が溢れてきて……って展開は、ヤバすぎるよね。

――「この映画のリアリティラインは、どこにあるんだ?」って(笑)。

小出:「これ、何するやつ?」って思うんじゃないかな(笑)。

ハマ:(笑)。何か、今こうして話していたら、余計面白くなってきました(笑)。

小出:ホントだよ。で、ヤンキーが出てきて、「あ、ヤンキー漫画的なやつ?」って思ったら……。

ハマ:いきなりぶっ飛ばされて、そしたら自転車が直ってるって、「どういうこと?」という(笑)。

小出:全然意味わからない。「これ、誰が何をやる話なの?」っていう(笑)。

――(笑)。でも、あの世界の中では、すべてが違和感なく成立しているんですよね。

ハマ:そうなんですよね。いろいろツッコミどころはあっても、それを気にしないで話は進んでいく(笑)。

小出:原作漫画自体、ちょっとそういうところがある作品じゃないですか。いろんな設定が微妙に変わっていったりしてるから。だから、これはこれでいいと思うんですよね。

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