『金田一少年』や足利事件の要素も 『99.9』第8話に隠された“小ネタ以外”の面白み
ところで今回のエピソードでは、ひそやかに司法の重要な問題についての言及があった。毒物の成分を再鑑定したぶっきらぼうな沢渡清志郎(白井晃)が登場する場面で、科捜研の方法では精度が低いという話題に触れ、斑目春彦(岸部一徳)は「確かにDNA鑑定のときもそうだったよね。犯人の該当者が12万人もいるようないい加減な方式だったのに、新しい鑑定方法を認めようとはしなかった」と語る。それは紛れもなく1990年に発生した「足利事件」のことだ。
時代の流れとともに精度が増した鑑定によって、無期懲役が言い渡された男性の無実が証明された。事件当時は1,000人に1人の精度だった鑑定制度は、現在では4兆7,000億人に1人という高さまで飛躍的に伸びている。鑑定の精度が上がり、過去の判決が覆ることで揺らぐ司法の信頼性よりも、過去や現在、未来すべてを通して冤罪を生まないことが重要であることは言うまでもないだろう。
クライマックスで無事に無期懲役の判決が覆り、現れた川上に深山が言い放つ「事実は最初からひとつでしたよ」という言葉の重さ。次週の最終回では「死刑囚の再審請求」が描かれるそうだ。必然的に、司法が下した過去の判決を覆す展開が予想される。またしてもこのドラマは、極めて重い「冤罪」というテーマでフィナーレを飾ることを選んだようだ。
■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54
出演:松本潤、香川照之、木村文乃、青木崇高、片桐仁、マギー、馬場園梓、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの、渡辺真起子、藤本隆宏、首藤康之、奥田瑛二、笑福亭鶴瓶、岸部一徳
脚本:宇田学
トリック監修:蒔田光治
プロデュース:瀬戸口克陽、東仲恵吾
演出:木村ひさし、岡本伸吾
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/999tbs