芳根京子の見事な顔芸もスイッチャーに 『海月姫』から感じる“テンポ感の良さ”のヒミツ

『海月姫』の“テンポ感の良さ”のヒミツ

 さて、原作者・ 東村アキコもTwitterでお気に入りだと絶賛していた稲荷と佐々木公平(安井順平)の場面で、ついに稲荷が修への気持ちを認め、複雑な三角関係がより複雑な四角関係に発展。かと思えば、さらに賀来賢人演じる人気ブランドのCEOカイ・フィッシュの登場で、もう一角増える予感を漂わせる。そんな中、修は蔵之介の母に会いにミラノまで遠路はるばると出向く。今回の序盤で一番暴走していたはずの彼はいつのまにか鯉淵家の家族のドラマを回収しはじめていたのだ。このドラマのテンポ感の良さはこういう部分によく表れている。

 肝心のヒロイン芳根京子は、今週はいわゆる“顔芸”に徹したかのような、表情が中心となるコメディー演技だった。天水館を買い取るために3億必要だと聞かされたときの表情や、階段での修からのプロポーズに小さく頷くしかめっ面。デートの場面からの流れは秀逸で、水を吹き出してから裸眼で顔をしかめると、デザイン案を思いついた流れで覚醒モードへと切り替わる。そして布を染める場面での真面目な表情と、見事なスイッチを披露してくれた。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『海月姫』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00放送
出演:芳根京子、瀬戸康史、工藤阿須加、ほか
原作:東村アキコ『海月姫』(講談社『Kiss』所載)
脚本:徳永友一
編成企画:渡辺恒也
プロデュース:小林宙
演出:石川淳一
制作:フジテレビ/共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kuragehime/

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