結婚や妊娠に関する課題がてんこ盛り 深田恭子×松山ケンイチ『隣の家族は青く見える』の問題提起

『隣の家族は青く見える』の問題提起

 この物語に登場する他3組のカップルが抱える問題も興味深い。主人公・奈々と大器は、マイホームの新しい形であるコーポラティブハウスに住む。彼らの隣人となるのは、バツイチのスタイリスト川村亮司(平山浩行)とネイリストの杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)、2人の娘をもつ商社マンの小宮山真一郎(野間口徹)とその妻・深雪(真飛聖)、設計にも携わった建築士・広瀬渉(眞島秀和)。

 ネイリストのちひろは「子供をつくらない」と心に決めているようだ。第1話ではその理由についてはっきりと明かされないが、「子供をつくったほうがいい」と豪語する深雪との相性は悪そうだ。

 一方で深雪も、子供のいる“幸せ”な家庭に捕らわれているらしい。商社マンだったはずの夫は、コーポラティブハウス完成直後に会社を辞めてしまった。゙幸ぜを演出する深雪は、インスタ映えする食事の写真を撮りながら、次の仕事探しになかなか取りかからない夫に「会社に行くフリをして」と苛立ちながら促す。そんな彼女は、ちひろの持つブランドバッグが目に入るたび、長らく愛用しているであろうバッグを必死になって隠す。彼女の一挙一動はコメディタッチで描かれているものの、もっとも闇の深いキャラクターかもしれない。

 建築士の渉は単身かと思いきや、彼は同性愛者であり、事務所内では公言していないようだ。バーで出会った青木朔(北村匠海)と良い関係だが、若く自由奔放な彼がコーポラティブハウスに訪れたことで、今後は同性愛者の抱える悩みについても描かれるということだろう。

 まだ始まったばかりだが、すでに結末が気になる。子供が欲しいカップルに無事子供が産まれるエンディングを迎えるのか。子供をつくらないと決めたカップルに子供ができてしまう可能性も否めない。冒頭で述べた通り、結婚・妊娠・出産観に関する課題がてんこ盛りのドラマだ。結婚する・しない、子供を産む・産まない関係なく、まずはこのドラマを観てほしい。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
木曜劇場『隣の家族は青く見える』
フジテレビ系にて毎週木曜22:00から放送
出演:深田恭子、松山ケンイチ、平山浩行、高橋メアリージュン、北村匠海、眞島秀和、真飛聖、野間口徹、伊藤かずえ、高畑淳子、橋本マナミほか
脚本:中谷まゆみ
プロデュース:中野利幸
演出:品田俊介、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/tonari_no_kazoku/

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