『IT/イット』監督が語る、恐怖を与えるために必要なこと 「共感できるキャラ作りを意識している」
「『ストレンジャー・シングス』とは違う作品だとハッキリと言える」
ーー影響を受けた映画は?
ムスキエティ:初めての決定的な映画体験となったのは、スティーヴン・スピルバーグの『未知との遭遇』だった。エイリアンが宇宙船から出てくるシーンなんて、怖くて怖くて仕方がなかったよ。子どもの頃はとにかくエイリアンとゴーストが怖かったんだ(笑)。それと、6~7歳ぐらいの頃から、土曜の夜にテレビで放送されていたホラー映画シリーズを欠かさず観ていた。その中でもヴィンセント・プライスが出ていたカルトホラー『怪人ドクター・ファイブス』が特に好きだったね。「観たらダメだ!」とは言わずに、自由に観させてくれた親には感謝しているよ(笑)。あとはサム・ライミも大好きだ。特に『死霊のはらわた』はホラー、風刺、スプラッター、コメディなど、様々なジャンルをMIXさせた素晴らしい作品だね。他には、『エスケープ・フロム・ニューヨーク』や『ハウリング』、ジョー・ダンテの作品も大好きだ。映画学校に通うようになってからは、イタリア映画、イタリアコメディにハマったんだけど、その中でもディーノ・リージ監督の『追い越し野郎』からはものすごく影響を受けている。そもそも僕はアルゼンチン人で、アルゼンチンの人間はイタリア文化から大きな影響を受けているからね。あとはロマン・ポランスキー監督の『テナント/恐怖を借りた男』や『ローズマリーの赤ちゃん』、キャスリン・ビグロー監督の『ニア・ダーク/月夜の出来事』、トム・ホランド監督の『フライトナイト』なんかも大好きだよ。アジアだと、独自のビジョンを持っている三池崇史監督や、キム・ジウン監督をはじめとする韓国映画からも影響を受けているよ。
ーースティーヴン・キング原作映画のネタがたくさん詰め込まれ、キング自身も「スティーヴン・キングのグレイテスト・ヒッツを見るようなもの」とコメントしていたNetflixのテレビシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』と本作は、ともに80年代が舞台ということもあり、共通点が多いように感じます。『ストレンジャー・シングス』と本作との繋がりについて、どう考えていますか?
ムスキエティ:ちょうど『IT』の撮影中に『ストレンジャー・シングス』の配信が始まったんだ。『ストレンジャー・シングス』とは確かに近い部分があるなと思っていたから、撮影中はあえて観ないようにしていて、撮影を終えてから3~4ヶ月後に観たよ。まだシーズン1をすべて観終えていないんだけど、とても素晴らしいTVシリーズだと思う。ただ、『ストレンジャー・シングス』は音楽も含めてストレートに80年代にオマージュを捧げた作品だ。『IT』は決してそうではないから、そこはハッキリと違うと言える。『IT』はオマージュだけではないし、時代設定も89年と、『ストレンジャー・シングス』の82年とは7年という大きな差があるからね。もうひとつの繋がりと言えば、『IT』ではリッチー役を演じていて、『ストレンジャー・シングス』にも出演しているフィン・ウルフハードだね。『ストレンジャー・シングス』が大人気になったから、『IT』の撮影中に彼もブレイクしたという感じだったよ。
(取材・文=宮川翔)
■公開情報
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
11月3日(金・祝)公開
監督・脚本:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード、ソフィア・リリスほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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