社会派スリラー『ゲット・アウト』監督が語る、笑いと恐怖の共通点 「どちらも“死と向き合う”のに必要な感情」
黒人音楽をベースに、ハイブリッドな音楽を目指した
ーー本作は音楽の使い方も非常に効果的で、楽曲そのものにも斬新さを感じました。制作において工夫した点を教えてください。
ジョーダン:今回、音楽を担当したマイケル・アーベルスは、映画音楽を手がけるのは初めてだったそうです。彼はクラシック畑でありながら、ジャズやゴスペル、アフリカの民族音楽など、非常に幅広い音楽に精通しています。まったく新しいタイプの映画なだけに、音楽も新しくないといけないと思っていたので、今まで組み合わせたことがないようなハイブリッドな音楽を作ってほしいと、私はかなり無茶な注文をしましたが、彼はしっかりと応えてくれました。
結果として、ゴスペルやソウル、ブルースなどの黒人音楽をベースに、様々な要素を加えた新しい映画音楽となりました。ブルースにはかつて、気分が悲しい時に黒人たちが自分を励ましながら聞いていたというルーツがあるのですが、そういった音楽がホラー映画の中で使われるのをあまり観たことはなかった。だから、この組み合わせはとても新鮮な表現になると期待していました。また、ヒッチコック監督の映画の音楽をたくさん手がけてきたバーナード・ハーマンや、キューブリック監督の手がけたホラー映画の傑作『シャイニング』の音楽など、色んな音楽を聞いて参考にしていました。
ーー監督は今後も、自身が“社会派スリラー”と呼ぶジャンルを追求していくのですか?
ジョーダン:さらに深く追求したいですね。次回作ははっきりとは明かせないのですが、『ゲット・アウト』とはまったく違ったタイプの映画になるでしょう。テーマは人種差別とかではなく、また一味違った、社会が抱える問題をスリラーというジャンルを通して表現したいと考えています。次回作も、私が監督・脚本を担当し、今まさに書いている最中です。楽しみにしていて下さい。
(取材・構成=松田広宣)
■公開情報
『ゲット・アウト』
10月27日(金)TOHO シネマズ シャンテほか、全国ロードショー
製作:ジェイソン・ブラム
監督・脚本:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、キャサリン・キーナー
ユニバーサル映画
配給:東宝東和
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公式サイト:http://getout.jp