玉森裕太、苦悩系キャラで冴える演技力! 『重要参考人探偵』“火事場の名推理”の面白さ
20日からスタートしたテレビ朝日系列の金曜ナイトドラマ『重要参考人探偵』。子どもの頃からやたらと人の死を目撃してしまう主人公が、殺人事件の現場に遭遇。何も言わなければ容疑者にさせられてしまう重要参考人という立場を覆すために、土壇場で推理を繰り広げていくミステリードラマだ。
本作の原作が「月刊フラワーズ」で連載している、少女漫画だというのは少々意外な気もするが、主人公の弥木圭を筆頭に、自称“名探偵”の周防斎、ナンパ好きのシモン藤馬の3人が中心になって物語を進める、いわゆる“イケメン漫画”であると考えれば納得できる。しかもそれを演じているのがKis-My-Ft2の玉森裕太、NEWSの小山慶一郎、そして国際派俳優として地位も確立している古川雄輝となれば、その再現度もなかなかのものだ。
第1話では売れないモデルの彼らが、CMモデルを務めた時計会社の部長に気に入られレセプションパーティーに招かれる。そこで突然、シャンデリアが落下して、部長が殺害されてしまう。さらに、展示されていた高価な懐中時計が無くなってしまうのだ。たまたま近くにいたという理由で疑われた圭は、自分のポケットに無くなったはずの懐中時計が入っているのに気が付き、その場を逃亡してしまうのである。
本ドラマの注目すべき点は、やはり主演の玉森を筆頭にした3人の掛け合いのバランスの良さだ。とりわけ、他の2人がお調子者としてのキャラクターを発揮する中で、ひとりだけトラブルに巻き込まれてしまい、苦悩する顔を見せる玉森の芝居は必見である。
逃亡してしまったがために犯人として疑われ、あっけなく捕まった彼は連行される直前に自分が犯人ではないと叫び、突然推理を始めた。“火事場の名推理”と劇中では表現されるこの場面が実にシュールで、時間を稼ぐためにモデル歩きをしながら、時々決めポーズを取る玉森は、常に神妙な面持ちで推理をまとめていく。そして真犯人と踏んだ相手を問い詰めるたびに、生唾を飲みながら推理が正しいことを願う。難事件を解決するタイプの探偵ドラマにしては、主人公の推理力の危なっかしいことこの上なく、絶妙な笑いを生み出す。
ふと、一昨年放送された日本テレビ系列の深夜ドラマ『青春探偵ハルヤ〜大人の悪を許さない!〜』でも玉森は“探偵”を演じていたことを思い出した。その時は、普通の大学生が同級生のストーカーを探し出すことをきっかけに活躍していく、どちらかといえば便利屋タイプの“探偵”であった。“探偵”のタイプは違うとはいえ、困っている人を放っておけない正義感の強さから滲み出た苦悩系のキャラ、さらにジャニーズの俳優専門枠である高田翔が女好きの親友役を務めていたあたり、今回のドラマと似たような空気感が漂う。
Kis-My-Ft2の“イケメン”枠である前列で活躍している玉森は、同じく前列の藤ヶ谷太輔と並んで、俳優業としての活躍も期待されている存在。そんな彼の演技は、本作のように何らかの苦悩を抱えたキャラで冴え渡っている。映画『レインツリーの国』で難聴を抱えるヒロインと恋に落ちる主人公を演じた彼は、相手の病気を受け入れながら徐々に心を開いていく。作品の出来も玉森の演技も想像を遥かに超えていた。