夏ドラマ、SNSの反響狙いで過激展開が続出 今後のヒントは『過保護のカホコ』にアリ?

『過保護のカホコ』が教えてくれたもの

 もともと地上波の作品には、コンプライアンスやスポンサー対応などの問題があり、過激な展開と言っても限度がある。それだけに、今後もこの路線を続けていくのは難しいのではないか。

 その意味で一つ見逃せないのは、『女王の教室』『家政婦のミタ』(日本テレビ系)などを手がけ、過激な展開を得意としてきた脚本家・遊川和彦の『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が、むしろ真逆のベクトルだったこと。同作は、終始のんびりとした展開で登場人物の心理を丁寧に描き、視聴者に癒しを感じさせながら、最終回の大団円につなげていた。つまり、「過激な展開はなくても、視聴者の支持を集められる」という今後のヒントが潜んでいる。

 もしかしたら、「夏らしく豪快な作品が多かっただけ」なのかもしれない。10月からは秋らしく繊細な心理描写に力を入れた作品が増えてほしいと思っている。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間20数本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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