長瀬智也は、表情で語る天才だ! 『ごめん、愛してる』性格が真逆の律役をどう演じた?

 それぞれのキャラクターにギャップがあることを考えると、長瀬は役に寄せてしっかり演技をしていることが分かる。律は饒舌に話すタイプではないため、沈黙が流れるシーンも少なくない。しかし、表情や間だけで律の心情を表すことができるのは、長瀬の演技力あってこそだ。たとえば、麗子の手料理を食べるシーン。母親という存在を一気に感じたからか、思わず「自分が息子です」と言い出すような表情を見せるも、グッと言葉を飲み込んで家を出ていってしまう。その間、言ったセリフは「すんません」のみ。にも関わらず、今、律がどんな気持ちで何を言おうとしているのかが伝わってくる。長瀬は、表情で語る天才なのかもしれない。

 映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』では、無駄に熱い地獄の赤鬼・キラーK、ドラマ『フラジャイル』(フジテレビ系)では強烈な変人病理医・岸京一郎など、近年長瀬は凄まじく個性的なキャラクターを演じることが多かった。『ごめん、愛してる』の律と比べると、その振り幅の広さに驚く。10代の頃から長年積み重ねてきた演技経験の賜物だ。今もなお錆びつかない演技力を『ごめん、愛してる』でまざまざと見せつけてくれた長瀬。来年には、池井戸潤原作の映画『空飛ぶタイヤ』の公開も控えている。今度は、家族や社員のために巨大企業に戦いを挑む運送会社の社長役だ。原作の設定である「ずんぐりした体型」とはイメージが違うが、今回も長瀬の演技力でこのギャップを埋めてくれるのだろう。

(文=高橋梓)

■放送情報
日曜劇場『ごめん、愛してる』
TBS系列にて毎週日曜夜9時~
原作:韓国KBSドラマ『ごめん、愛してる』(脚本:イ・ギョンヒ)
脚本:浅野妙子
プロデュース:清水真由美
出演:長瀬智也、吉岡里帆、坂口健太郎、大西礼芳、大智、山路和弘、草村礼子、六角精児、池脇千鶴、中村梅雀、イ・スヒョク、大竹しのぶ
製作:MMJ、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/gomen_aishiteru/

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