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『黒革の手帖』は“母子手帳”じゃない! 女優・武井咲がつかんだ、芸能界での“10年パスポート”だ

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 本日、最終回を迎える連続ドラマ『黒革の手帖』。放送スタート当初から、銀座で最年少のママ(クラブ経営者)原口元子を演じる武井咲がハマり役!と好評で、7月クールの成功作のひとつになった。

 ここでこれまでの見どころを振り返ってみよう。第1話、派遣社員として働いていた元子が派遣切りにあい、不正預金口座の証拠を掴み、支店長らを脅して1億8000万円をゲット! 夜道でひったくりに遭い「私のお金!」と札束をかき集める武井咲の鬼気迫る表情がインパクト大だった。そして、米倉涼子版からの踏襲か、いきなりハイブランドのファッションに身を包み、昨日までの勤め先である銀行内をのし歩く元子。派遣という今時のリアリティのある設定といい、キャラ立ちした演出といい、序盤から見る者を引き込む仕掛けはお見事だった。

 そこからは、滝藤賢一が得意の死神的ポジションで怪演する銀行の次長。「ハッハッハッ」という乾いた笑いがもはやアニメ(二次元)のような高嶋政伸演じる予備校の理事長。そして、奥田瑛二が演じるからには善人のわけがない整形外科医と、悪い男どもを踏み台にしてのしあがっていく元子。ドラマ化5回目となる『黒革の手帖』ゆえ、先は見えてしまうが、何度見ても痛快なアガる展開で、その安定の面白さに、20代の最年少ママという新鮮味が加わってドラマとしての魅力は持続していった。元子はこれまでで最も狂気的でぶっとんだ女性として描かれ、見ていると「そんなに若いのに、なぜ銀座のトップに上り詰めようと生き急ぐのか」という素朴な疑問が沸いてきてしまうのだが、それを恋人の安島(江口洋介)らにセリフとして言わせ、年配の人物に「(元子は)さとり世代だから、何を考えているかわからん」などと評させたのも上手かった。そんなドラマ内ツッコミがあるかないかで脚本家の手腕が分かる。

 最終回は、基本的には原作(松本清張の小説)に忠実な展開となりそうだ。政財界のフィクサーである長谷川(伊東四朗)に陥れられた元子は、奪われた銀座一のクラブを奪い返せるのか。13年前の米倉涼子版を思い出すと、ハッピーエンドとはならなさそうだが、ここで若いヒロインならではの新しい展開になると面白い。第7話で、元子はそもそも人を脅して力を得てきたことが過ちだったと気づいたが、生き方を変えるのか。安島の子を妊娠し流産してしまったという設定も、結末にリンクしてくるのか? 楽しみである。

 武井咲が悪女を演じるのが新鮮だったという声もあるが、彼女は6年前、初めて月9に出た『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)のときから、いわゆる“清純派”の役柄ではなかった。演じたのは、ヒロインの婚約者である男性教師と一夜を共にし、関係を持ったという証拠の写メールを送りつける女子高生・ひかり。ひかりはその後も後悔するような初体験をするなどセックスありきのキャラクターで、「まだ10代で、お姫様ルックスなのに、こういうイメージでいいのかなぁ」と余計な心配をした覚えがある。続く大河ドラマ『平清盛』(NHK)でも常盤御前役で、清盛に襲われていたし、『エイジハラスメント」(テレビ朝日系)、『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)でもベッドシーンがあった(リアルな描写ではないにしても)。その是非はともかく、そういう設定や場面を辞さない人であるのは確かなようだ。度胸があって、セクシャルな場面でも男に媚びない凛とした美しさを表現できる。そう考えると、元子は武井咲に与えられた役ではなく、武井咲が演じるべくして演じた役なのだろう。

      

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