窪田正孝『東京喰種』は世界を痛烈に風刺する “社会派映画”としての側面を読む
実写映画で描かれたのは原作の途中までではあったが、変に続編を匂わせる終わり方でもなく、ひとつの作品として綺麗にまとまっていたように思う。しかし、それでも鑑賞後はなんだか後味が悪く、足取りも重くなった。それは、作中では問題提起のみがなされ、答えの出し方は鑑賞者それぞれに委ねられていたからだ。その点、実写版『東京喰種』も、見事なまでに“社会派映画”だったと言えるだろう。
もちろん、原作も未完結だから、作者が出した答えもわからない。もしかしたら、納得のいく答えなんて存在しないのかもしれない……。そう思うと、ただただ無力感に苛まれるのだった。
■まにょ
ライター(元ミージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter
■公開情報
『東京喰種 トーキョーグール』
全国公開中
原作:石田スイ「東京喰種 トーキョーグール」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
出演:窪田正孝、清水富美加、鈴木伸之、桜田ひより、蒼井優、大泉洋、村井國夫、小笠原 海、白石隼也、相田翔子、栁俊太郎、坂東巳之助、佐々木希、浜野謙太、古畑星夏、前野朋哉、ダンカン、 岩松了
監督:萩原健太郎
脚本:楠野一郎
音楽:Don Davis
主題歌:illion「BANKA」(WARNER MUSIC JAPAN)
配給:松竹
(c)2017「東京喰種」製作委員会 (c)石田スイ/集英社
公式サイト:http://tokyoghoul.jp/