竹内涼真、『過保護のカホコ』で再び“ヒーロー”に 高畑充希の隠れた魅力を引き出す存在感

 過保護という温室育ちで育った根本加穂子(高畑充希)は、第1話の物語で労働の大変さと「人を幸せにできる仕事を見つけたい」という目標を見つける。そして、今週の第2話では、人間には表の顔と裏の顔、二面性があることを知ることになる。

 母親である泉(黒木瞳)に大事に育てられ、“尻尾の生えたカエル”状態の加穂子に対して、従姉妹の糸(久保田紗友)はプロのチェリストを目指す家族の期待を一身に背負った人物。しかし、彼女は思い通りに手が動かせなくなる神経障害にかかり、コンクール本番で演奏を止めてしまう。

 プロのチェリストを目指していた人間が二度と演奏が出来なくなった時、どんな声をかけるか。病室にいる糸を思い、加穂子は悩む。寝ずに折った千羽鶴、色とりどりの花束、眩しいほどにポジティブな名言を頭に溜めて加穂子は糸の病室を訪ねる。傷つけまいと目的を済ませ、すぐさま部屋を去ろうとする加穂子に、糸は「まともにチェロ弾けないなんて、笑っちゃうよね」と諦めの言葉を呟く。焦った加穂子は、ネットで調べた名言と共に、家族の期待、奇跡、音楽の存続と、熱い思いを糸にぶつける。しかし、そんな言葉が彼女の逆鱗に触れる。

 「そんなこと言われなくても分かってんだよ」「なに上から目線で説教垂れてんの、あんたマジでバカじゃないの」「あんたが一番嫌いだった! なんの取り柄もないくせに! あんたみたいな水槽の中で泳いでる金魚に荒波で泳いできたこっちの辛さが分かるわけねぇだろうが!」。何でも出来る優等生という印象であった糸が、本性を現す。床に叩きつけられた花束、撒き散らかれた千羽鶴、頭を抱え“ムンクの叫び”のように病室の隅で小さくなった加穂子。

 そんな加穂子の側に寄り添うのが、麦野初(竹内涼真)。彼は、いくつものアルバイトを掛け持ちしながら加穂子の前に現れる。第1話では、ティッシュ配り、ピザ屋の配達という姿を見せたが、黒のスーツ姿でビシッと決めた会場整理のアルバイト。神出鬼没だ。金にがめつく、現実的な麦野。一見、加穂子に辛辣な態度をとっているようにも見せるが、人にきちんと意見が出来、自然と彼女を正しい方向へと導いている。加穂子のとった行動は、幼稚で愚かな行為だが、何も悪くはない。優しさで愛。そう言って、加穂子を正当化する。第1話を振り返れば、半ば強引に仕事を押しつけばがらも、彼女に働くことの大変さを教えたのも麦野だった。少しずつ、加穂子に様々な経験をさせ、過保護から彼女を脱却させていくストーリーが見える。

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