峯田和伸にスポット当てた『ひよっこ』、なぜ最高視聴率に? 「笑って生きる」の深い意味

 『ひよっこ』は、オリンピックや高度成長期に、東京がわくわくした空気に包まれている模様を描くものだと思っていた。しかし、その描写ばかりではない。オリンピック後には景気が低迷して集団就職で上京したみね子たちが職探しで苦労するところも、また戦後に人々がどんな気持ちで暮らしていたのかを描いている。

 特に72話では、すずふり亭の店主・牧野鈴子(宮本信子)と、同じ商店街で和菓子屋を営む柏木一郎(三宅裕司)が、戦争で全部焼けてしまったときの話をしている。

 鈴子は「町は立派になったけれど、戦争でたくさんのものを無くしたことを取り戻そうと、頑張って無理して、そしてまた無くした」と語っている。「もはや戦後ではない」という言葉に「冗談じゃない」「私の戦争は終わってない」「元には戻らない」というセリフが染みる。

 明るく見えた高度経済成長期に生きた人たちの、なかなか表だっては語られなかった思いが、このドラマには描かれている。

 本作の一番言いたかったことが最も詰まっていたのが7月4日の放送であったと思う。それが、自己最高視聴率になるということは、偶然かもしれないが、このドラマの良さが、ちゃんと見ているものに届いているということではないかと思うのだ。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■番組情報
NHK連続テレビ小説『ひよっこ』
出演:有村架純、沢村一樹、木村佳乃、羽田美智子、佐久間由衣、泉澤祐希、峯田和伸、津田寛治、宮原和、高橋來、佐々木蔵之介、古谷一行、宮本信子、磯村勇斗ほか
作:岡田惠和
音楽:宮川彬良
平成29年4月3日(月)~平成29年9月30日(土)全156回(予定)
<総合>
(月~土)午前8時~8時15分/午後0時45分~1時[再]
<BSプレミアム>
(月~土)午前7時30分~7時45分/午後11時~11時15分[再]
(土)  午前9時30分~11時[1週間分]
<ダイジェスト放送>
「ひよっこ一週間」(20分)
<総合>
(日)午前11時~11時20分
「5分で『ひよっこ』」
<総合>
(土)午後2時50分~2時55分     
(日)午前5時45分~5時50分/午後5時55分~6時
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/hiyokko/

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