今井翼、溢れ出す濃密なエロス――『屋根裏の恋人』生々しいラブシーンを考察

 1990年代後半に放送されていた、「nude」という炭酸飲料のCMを覚えているだろうか。半裸の美少年がベッドの上でカメラを構えているというCMである。その麗しい少年こそ、タッキー&翼の今井翼。あれから約20年、当時からは想像もつかないほどの濃い色気に包まれた今井翼が、『屋根裏の恋人』(フジテレビ系)でリアルなラブシーンを見せてくれている。

 “オトナの土ドラ枠”で放送中の『屋根裏の恋人』は、昔の恋人、不倫、いじめ、殺人、借金……聞いただけで「ドロドロストーリー」が想像できるキーワードが網羅されているドラマだ。鎌倉の一軒家に住む、一見幸せそうな家族。セレブな主人公・西條衣香(石田ひかり)の前に、突然昔の恋人である瀬野樹(今井翼)が姿を現す。追われているという樹は「一晩だけ匿ってくれ」と西條家に近づくが、気付けば屋根裏に棲みついてしまっていた。樹は屋根裏から衣香の夫・息子・娘・親友の杏子の秘密を見つめる。そして、少しずつ幸せが崩壊し、歯車が狂いだす――そんなストーリーだ。

 『屋根裏の恋人』は恋愛サスペンスであるが、大真面目に見るだけではもったいない。というのも、樹の行動にツッコミどころが非常に多いのだ。隠れて屋根裏に住んでいるのにバイオリンを弾いたり、衣香の息子から幽霊と勘違いされたり、ハムの塊をまるごと囓ったり、やけにベリーダンスが上手かったり……。ネット上でも、じわじわハマっていく人が多く見られる。

 しかし、『屋根裏の恋人』の面白さはそれだけではない。溢れ出す今井の色気を余すところなく活用しているのだ。公式サイトでも「いけない大人の事情が錯綜するドロドロストーリー」と言っているだけあり、第1話から衣香と樹の濃厚なキスシーンが、第3話では激しいベッドシーンが放送された。今井にとって、地上波でのラブシーンは初ではないだろうか。

 昨年放送されたドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)では、相方の滝沢秀明がラブシーンを披露したが、あくまでもソフトで「タッキーは王子様」というイメージが壊れない程度であった。しかし今回の今井のラブシーンは、実に生々しい。あたかも、今年36歳を迎えるひとりの男性のベッドシーンを覗き見ているようである。

 この生々しさは、ラブシーンだから醸し出されているわけではない。今井が普段から持つ色気が、上手く活かされているからであろう。ハスキーな声、どこかくたびれた表情、無精髭、想像以上にたくましい腕、丸くしなやかな背中、全てが今井の色気を形成する要因となっている。「役を作る」のではなく、「役に活かす」からこそ、このリアルさが出ているのだ。だからこそ、異様なほどのエロチシズムが漂うラブシーンになっている。

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