ドラマヒロイン、求められる資質は“スルースキル”? 波瑠、沢尻エリカらのプロ意識に迫る
例えば波瑠は、かつてインタビューで「私の良さをアピールするとしたら、柔軟なところだと思うんです。これといったものを持っていないから、逆に何でも正解にできる」と答えている。『あさが来た』での天真爛漫で意志の強い商売人、『世界一難しい恋』での真面目でやや天然な才女、そして『あなたのことはそれほど』の浮気妻、それぞれに印象的ではあるものの、どれかひとつの方向性に縛られてはいない。またそんな信条は、世間の批判への対応にも表れており、『あなそれ』でバッシングされた際にも「しょうもないとか馬鹿とか最低とか言われても、観て感想を抱いてもらうっていうことで私は報われるような気持ちです」とブログで表明。アンチにも屈しない芯の強さは、ネット時代以降のテレビを取り巻く状況を鑑みると、とても重要な適性にも思える。
今期、ドラマでヒロインを演じているのは、どこかこの波瑠のような気質を備えた女優たち。大胆な役柄にも果敢に挑み、批判やバッシングもものともせず作品の中に確かな足跡を刻む。お芝居へのスタンスはもちろん、女優としてのポテンシャルにもこの時代を生き抜く硬派な姿勢が見て取れる。
飄々と。サバサバと。エンターテインメントの大海に軽やかに挑んでいく彼女たちの姿に、拍手を送りたい。
(文=渡部あきこ)