『友だちのパパが好き』山内ケンジ監督が語る、インディーズの方法論 「何かを崩壊させたい」

山内ケンジ監督が語る、インディーズの方法論

「もともと映画より演劇をやりたかった」

ーーCMディレクター時代からもともと映画を撮りたいという気持ちはあったんですか?

山内:いや、そうでもないですね。僕は1958年生まれなのですが、僕らが20代の頃は映画を撮ること自体がものすごいハードルが高かったので、そもそもそういう道はないものだと思っていましたから。映画会社も少ない上に、日活ロマンポルノも下火になっていて、大蔵映画とかピンク映画の道に行く人が多少いるぐらいだったと思います。ちょうどスタートしたぐらいのPFF(ぴあフィルムフェスティバル)に関しても、当時は学生の頃から映画研究会とかに入っていて、何が何でも映画の道に行くんだという人が応募する感じでしたから。機材も簡単には手に入らないし、誰でも簡単に映画が撮れるような今の時代とは全然違ったんです。僕自身は当時から映画が好きでよく観てはいましたが、先ほど挙げたようなヨーロッパ映画とかアメリカ映画ばかりで日本映画はほとんど観ていなかったので余計に。ただ、たまたま就職したのがCMプロダクションだったので、結果的に映画づくりに近づいていたという感じですね。撮影から編集まで、方法自体はCMも映画も同じですから。

ーーキャリアを重ねていく中で映画を撮れる環境ができたと。

山内:CMで随分ヒット作を作ったので「映画をやらないか?」みたいな。同時期にCMから映画にいった中島哲也さんや吉田大八さんのように、原作ものの大作みたいな話をいただいたこともあって。でも全然うまくいかなくて、いろいろお断りしてしまった、っていうか、やはりもともと映画より演劇をやりたかったんですよね。で、演劇を何本もやると、俳優の心理や演出のことがずいぶん分かるようになりました。そうしてるうちに、まあ、長年撮影自体はやってきたので、小さくてもいいからオリジナルの映画を撮りたいなという気持ちがふつふつと出てきた感じですね。

ーーやっぱりオリジナル作品であることは重要なんですね。

山内 そうですね。原作が短めの小説だったり、自分にとって本当に魅力的な企画とかであればやることもあるような気がしますが、原作となる長編小説や漫画を2時間の映画としてシナリオ化してくださいみたいなのはできないでしょうね。自分自身そういうことにあまり興味がないし、そもそも自分ができるとも思いませんから。今後も自分が書いたオリジナルでやっていくと思います。

(取材・文=宮川翔)

■リリース情報
『友だちのパパが好き』
6月7日(水)DVD発売
価格:4,800円+税(税込)
収録内容:本編105分+特典映像
片面一層/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル
【初回限定特典】シナリオ再録!特製ブックレット
【特典映像】予告編(劇場版、海外版、vine向け)
監督・脚本:山内ケンジ
出演:吹越満、岸井ゆきの、安藤輪子、石橋けい、平岩紙、宮崎吐夢、金子岳憲
発売元・販売元:バップ
提供:ギーク ピクチュアズ
(c)2015 GEEK PICTURES.
商品ページ:http://www.vap.co.jp/category/1488962216484/

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