竹中直人が語る、初主演映画『赤い眩暈』の思い出 「ロマンポルノは大きな挑戦でした」

竹中直人インタビュー

“メジャー”になることへの抵抗

―竹中さんのキャリアを振り返ったとき、『赤い眩暈』への出演は大きなターニングポイントだったと。

竹中:石井隆さんと出会えたことがとても大きな出来事です。まだ誰の目にも留まってないものを探すのが好きですね。世間ですでに評価されているものには何の興味もない。自分がお笑いをやっていた時も、いろんな矛盾を感じていました。とにかくくだらない事をやろうって作っていたものが、予想に反してお客さんにも受け入れられた。そしてどんどん話題になっていった。それがうれしい反面、どこか照れがあったんです。自分が映画を観るときもそうですね。公開当時『ブレードランナー』を観た時、全然お客さんが入っていなかった。その時は「俺だけの映画になった!」っていう興奮がありました。その後、口コミでどんどん人気が拡がっていき、なんだかさみしい気持ちになってしまった(笑)。でもね、自分が出演した映画や舞台にお客さんが入らないと、とてもショックだし、入れば当然うれしい。でも、どこか“メジャー”になることへの抵抗がありました。知る人ぞ知るってのが好きです。矛盾していますね(笑)。

——その後、大河ドラマ『秀吉』で主演を務め、日本全国に名を知られることになったわけですが、そのときは?

竹中:プロデューサーでさえ、「今回の大河は相当マニアックな大河になる」って言っていたのに、視聴率をとってしまった。同時に映画『Shall we ダンス?』も大ヒットして。かなり、焦りました。周りの人が突然みんな優しくなって、怖かったです。こんなの絶対長続きはしないと思っていましたからね。今はその流れがもっと早い。去年ヒットしたものでさえ、もう遠い過去になってしまう。役者でいること、この世界にい続けることの難しさを改めて感じます。だからこそ、こういった形で30年前の作品がBlu-rayとして再び世に出ることを本当にうれしく思います。昨年からロマンポルノもリブート企画として蘇っているようなので、また石井さんと新たなロマンポルノを撮れたらいいですね。「まだ勃つ!」とか言いながらって……そんなの誰が観るんだよって話ですね(笑)。

(取材・文=石井達也)

■リリース情報

『天使のはらわた』Blu-ray BOX(石井隆 描き下ろし装丁・限定版)

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『天使のはらわた 赤い教室』
『天使のはらわた 名美』
『天使のはらわた 赤い淫画』
『天使のはらわた 赤い眩暈』
4作品収録
7月発売
価格:16,800円(税込)
発売元:日活株式会社
販売元:ハピネット

『天使のはらわた 赤い眩暈』
監督・原作・脚本:石井隆
出演:桂木麻也子、竹中直人、小林宏史、山内ゆうほ、江崎和代、木築沙絵子、泉じゅん、柄本明(友情出演) ほか
音声:日本語Dolby TrueHD/モノラル(石井隆監督×竹中直人×成田尚哉Pによるコメンタリー)
字幕:バリアフリー字幕(聴覚障がい者向け字幕)
特典:オリジナル劇場予告篇・フォトギャラリー収録
(C)日活株式会社
公式サイト:http://www.nikkatsu-romanporno.com/

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