リドリー・スコット×トム・ハーディ、歴史の暗部をえぐるーー禁断のドラマ『TABOO』の魅力

T・ハーディ×R・スコット共作への期待

20170421−taboo-s4-th.jpg

 

 製作総指揮のリドリー・スコットにとっても、本作『TABOO』への貢献は、その長く偉大なキャリアにおいて、傍流ではなく王道に位置するものと言っていい。超売れっ子CMディレクターとして世界中で名を馳せ、今からちょうど40年前に19世紀のフランスを舞台にした歴史活劇『デュエリスト/決闘者』で長編監督デビューしたリドリー・スコットは、その後も『1492・コロンブス』、『グラディエイター』、『キングダム・オブ・ヘブン』、『エクソダス:神と王』と継続的に歴史大作を撮ってきた。特に、本作『TABOO』の製作会社でもあるスコット・フリー・ロンドンの長年の経営パートナーにして、兄とはまた違うタイプの名監督であったトニー・スコットが死去した後に手がけた『エクソダス:神と王』(旧約聖書“出エジプト記”の映画化作品)は、兄弟同然に育ったモーゼとラミレスの関係に亡き弟へのメッセージを込めたかのような、壮絶な歴史叙事詩であった。

 イギリスでもアメリカでも今年1月にファースト・シリーズの放送が始まったばかりの『TABOO』。父と共に本作の企画を温めてきた名優トム・ハーディ、最愛の弟を失って以来、ますます創作意欲盛んな巨匠リドリー・スコット。そんな男たちの万感の想いが込められた『TABOO』は、近年稀にみる濃密なヒューマンドラマとして、そしてタイトルの通り“タブー”を破る禁断の作品として、我々を魅了していくに違いない。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

『TABOO』特別予告

■番組情報
『TABOO』(全8話)
【STAR1 プレミアム 字幕版】
4月25日(火)より毎週火曜よる11:00ほか
※4月25日(火)は第1話無料放送

【STAR3 吹替専門 二ヵ国語版】
5月4日(祝・木)より毎週木曜よる11:30ほか
※5月4日(祝・木)は第1話無料放送
※ドラマ放送に合わせて特別番組「リドリー・スコット×トム・ハーディ『TABOO』スペシャル」も放送

製作総指揮:リドリー・スコット/トム・ハーディ/スティーヴン・ナイトほか
監督:クリストファー・ニホルム/アンダーズ・エングストロム
出演:トム・ハーディ/ジョナサン・プライス/デヴィッド・ヘイマン/ウーナ・チャップリンほか
公式サイト:http://www.star-ch.jp/
(c)Taboo Productions Limited 2017

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる