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野上照代・井関惺 インタビュー

『乱』プロデューサーが語る、黒澤明の素顔 「集中力が奇跡を生み出した」

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奇跡が噛み合った炎上シーン

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――その時の現場の雰囲気は?

井関:黒澤さんは場数を踏んでるだけあって、慌てるようなことはほとんどありませんでした。「とにかく一番いけないのはパニックになること、騒ぐな、落ち着け」と黒澤さんはずっと言っていました。

野上:4億の城を燃やす。今考えたらよくやりましたよね。そして、あのシーンが成立したのは、なんと言っても一文字秀虎を演じた仲代達矢さん! 映画だけではなく、舞台を何十年も経験してきた実績からか、度胸の座り具合がすごかった。実際に燃えている城の中から、茫然自失の城主として演技をしながら22段もある階段を降りてくる。足元を見てしまったら台無しになってしまうわけです。一歩間違えれば事故になってしまう至難の演技だったと思います。

井関:仲代さんが城から外に出てくるまで撮影はワンカット。失敗していたらと思うと血の気が引きますね。

野上:スタッフ、仲代さんもすごいプレッシャーだったと思います。お城に火をかけて、カメラを回したら仲代さんが中々出てこない。何かあったんじゃないかと黒澤さんがカットをかける寸前だったんです。

井関:後で聞いたら、仲代さんは仲代さんで、目が慣れるまで待っていたと。でも、こっちはそんなことわからないですから。あと数秒、仲代さんが出てくるのが遅かったら黒澤さんが止めてしまい、あのシーンは幻のものになっていましたね。

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――いろんな奇跡がかみ合ったと。

井関:本当にそう思います。そして、その映画の呼吸と奇跡を生み出したのは、やはり黒澤さんの集中力あってのものでしょう。

――炎上シーンをはじめ、スクリーンで観てこその映画だと思います。4K修復版となって蘇ることに関しては?

野上:画の鮮やかさもさることながら、音が本当に違います。三船敏郎さんの芝居に多いのですが、黒澤さんの映画は怒鳴るシーンが多い。でも、当時の技術では、そういった怒鳴るような台詞を、スクリーンで再現できなかったんです。どうしても音が割れてしまって、何を言っているのか聞き取りづらかった。それが、今回の修復版では非常にクリアに聞き取れるようになっている。これにはすでに観ている方も驚くと思いますよ。

井関:DVDで映画を観るのもいいですが、やはり大きなスクリーンで観ると感じるものがまったく違います。本作を観たことがある方も、初めて観るという方も、是非映画館で体験してほしいですね。

(取材・文=石井達也)

■公開情報
『乱4Kデジタル修復版』
YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開中
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、小国英雄、井手雅人
エグゼクティブプロデューサー:古川勝巳
プロデューサー:セルジュ・シルベルマン、原正人
プロダクションマネージャー:野上照代、飯泉征吉、井関惺
出演:仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆大介
原田美枝子、宮崎美子、ピーター、植木等ほか
(C)1985 KADOKAWA/STUDIO CANAL

      

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