会田誠、奈良美智ら『僕とカミンスキーの旅』に絶賛コメント 南伸坊のイラストも
『グッバイ、レーニン!』監督&主演コンビの新作『僕とカミンスキーの旅』より、会田誠、奈良美智らのコメントと、イラストレーターの南伸坊のイラストが公開された。
本作は、ヴォルフガング・ベッカー監督とダニエル・ブリュールが12年ぶりにタッグを組んだロードムービー。高慢な美術評論家の青年・ゼバスティアンと、天才老画家・カミンスキーが、かつてカミンスキーが愛した女性を見つけるために珍道中を繰り広げていく模様が描かれる。
南伸坊のイラストには、昔の恋人が忘れられなかった老画家カミンスキーを中心に、彼のキャラクターイメージから晩年をスイスで過ごした画家バルテュスと、妻ガラを情熱的に愛した画家ダリの絵が左右に描かれている。
また、美術家の会田誠は「20世紀美術全体への疑念と愛が、この個別の人間ドラマと呼応していて、いやはや見事な構成」と本作を賞賛し、 奈良美智からは「喪失と獲得、若さと老い、哀しみよさようなら。虚実はラストシーンにライ麦畑でキャッチされるのだ」というコメントが寄せられている。
著名人コメント
会田誠(美術家)
テンポの良い悲喜劇で、なんといっても人間ドラマが面白い。プラス、全編に「欧米の美術界あるある」が濃厚に満ちていて、そちらもすごく楽しめる。20世紀美術全体への疑念と愛が、この個別の人間ドラマと呼応していて、いやはや見事な構成。
奈良美智(美術家)
ウソのような(つか、作り話なんだけど)笑えるロードムービーか! と思いきや(つか、それだけでも充分楽しめるんだけど)喪失と獲得、若さと老い、哀しみよさようなら。虚実はラストシーンにライ麦畑でキャッチされるのだ。
片岡鶴太郎(俳優・画家)
最後のエンディング映像だけでも、絵画好きには堪らないモノが在る!! 胡散臭い登場人物。
虚実、裏表。
真実は何処に在るのか?
そもそも、絵画も、幻想の旅である。
KIKI (モデル)
盲目の画家カミンスキーって...、と
美大時代の友人たちに話しかけたら
十中四五くらいは、「あぁ、あの画家ね!」と 知ったかぶりをして答えてくれるだろう。
彼らもこの作品も、期待を裏切らない!
Mr.(アーティスト)
「勘違い」を人生を通して細かいところまで行っていくのが アーティストなのではないかと考えさせられ、勇気づけ られました。 そういった人生、作品は後から普遍的なものとして、認識されるんだろうなと思います。 大筋で歳はあまり関係ない気がします。
椹木野衣(美術批評家、多摩美術大学教授)
これは絵描きにとっての「署名」の重さをめぐる映画でもある。そんな運命的な重さが、こんな調子外れの旅で発揮されるとは。いや、画家の栄光と挫折に祝福された映画だからこそ、そんなことも起きるのだろう。
マライ・メントライン(翻訳・通訳・エッセイスト)
ロードムービーという外見に惑わされてはいけない。これこそ真の「ベルリン人」マインドを表現した映画だ! ユーモアのためにペーソスが、ペーソスのためにユーモアが存在する、その滋味を堪能していただきたい。
山崎まどか(コラムニスト)
食えない老人と傲慢な若者の珍道中はそれだけでも面白い。それがポップでファニーでほろ苦い、芸術と人生へのラブレターとなるような旅なら尚のこと。更にこの監督で、この主演俳優。もう間違いがない。
鶴田真由(女優)
美術業界やそこに群がる人々、みんな一癖も二癖もあってどこか意地悪。そんな人たちの織りなす物語に嫌気がさす。けれども、そのまま見続けていると、いつの間にかその人たちを愛してしまっている自分がいる。 虚と実の間で揺さぶられながら、いつの間にか取り込まれていく。
なんか悔しい。
森達也(映画監督・作家)
オープニングのフェイク・ドキュメンタリー的手法が、後半の切ないファンタジーへと重なる。老いること。名声を得ること。それらの虚実をベッカー監督はシニカルに描く。色を重ねる。観客は最後に気づく。絵画ほどフェイクでリアルな表現はないのだと。
萬田久子(女優)
ステキに滑稽な大人のおとぎ話。このあたたかみこのぬくもり好きだなぁ〜。「幸運を祈る!!世界の人みんなに」聴きなれたフレーズなのにわしづかみにされた私のSpirit。タフで身勝手な男たちふたりが母性をくすぐる。私もヘンテコリンな欲の断捨離しなくっちゃ。やんちゃでおし ゃれな人だろうなぁ。監督ベッカー。
■公開情報
『僕とカミンスキーの旅』
4月29日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国順次公開
出演:ダニエル・ブリュール、イェスパー・クリステンセン、ドニ・ラヴァン、ジェラルディン・チャップリン、アミラ・カサール
原作:「僕とカミンスキー」 ダニエル・ケールマン著(三修社刊)
原題:ICH UND KAMINSKI
日本語字幕:吉川美奈子
監督・脚本:ヴォルフガング・ベッカー
配給:ロングライド
後援:ドイツ連邦共和国大使館、ジャーマンフィルムズ
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