『カルテット』『オカムス』『大貧乏』……視聴者がドラマに求めるものはどう変化したか?

 最後に、SNSでもまったく話題にならず低視聴率に終わったが、今期、一番楽しく見ていたのが『大貧乏』(フジテレビ系)だ。シングルマザーが子育てをしながら、弁護士と共に企業犯罪を追い詰めていくというホームドラマとリーガル・サスペンスを両立させる手腕はさすが『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)の脚本家・安達奈緒子だと感心したが、演出のレベルが追い付いてなかったのが惜しかった。企業パートはそれなりに緊張感があったのだが、要となる家族パートが、どこか類型的で魅力的に見えなかったのが残念である。しかし、家族を中心としたコミュニティの楽しさを描く一方で、外側にいる他者としての敵役との対決を描くバランス感覚は今のドラマにはない真っ当なものだ。だが、その真っ当さ故に、今のドラマシーンでは居場所のない作品になってしまったように思う。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

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