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深津絵里、泥まみれでも“透明感”失わぬ理由 『サバイバルファミリー』の体当たり演技から読む

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 『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の矢口史靖(しのぶ)監督の最新作『サバイバルファミリー』がおもしろいと評判だ。実力派俳優の小日向文世を主演に、電気が一切使えなくなった世界で、東京脱出を試みる家族を見つめたサバイバルドラマにて、一家の主婦を演じているのが深津絵里。小日向と夫婦役? と一瞬よぎる不安を吹き飛ばし、物語が進むにつれて輝きを増す、鈴木一家の“強いお母ちゃん”の光恵役に染まってみせた。

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 矢口監督には、爽やかな青春映画の監督というイメージを持つ人も多いかもしれない。しかしもともとは本作のような“サバイバル”系、というより主人公たちをこれでもかと追い込んでいくドS系の演出が大好きな監督。デビューのきっかけとなった、PFFグランプリ受賞の8ミリ長編『雨女』、PFFスカラシップを獲得した16ミリ長編の『裸足のピクニック』などにはそうした作風が顕著に見える。

 むしろ爽やかなお話しや単純なコメディというのは、もともとの矢口監督ファンには正直、物足りない感じがあったのだ。『サバイバルファミリー』は、まさに監督の真骨頂であり、キャリアを重ねたことで、主人公が悲惨な目に遭うというだけでなく、家族を軸に、その絆や現代社会をチクリと刺す物語へと昇華させた。

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 そこにきて、さらにキャスティングが上手い。芸達者な小日向は言うまでもなく、深津が、一家の専業主婦役にバッチリとハマっている。

 仕事人間で家族にも横柄な態度を取る夫に、最初はなんとなく従っているように見える光恵だが、東京を脱出し、生きるか死ぬかのサバイバルがスタートしていくにつれ、底力を発揮し始める。タンス貯金(へそくり)や、物々交換の際の駆け引きに始まり、次々直面する危機を前に、光恵の本来の強さが見えてくる。

 かつて、矢口監督は、たとえばヒロインを川底に落とすといったシチュエーションで、“予算の”都合から、明らかにそれと分かる人形を使ったりしていた。しかし今、矢口監督には使える予算がある。もともと本物にこだわる監督。本作では飢えた鈴木一家が豚を追い掛け回して捕まえるシーンや、雨に打たれながら川を渡るシーンなどを、実際に役者たちにやらせている。川のシーンにいたっては、撮影がなされたのは11月末の天竜川である。もはや本気のサバイバルだ。

      

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