深津絵里、泥まみれでも“透明感”失わぬ理由 『サバイバルファミリー』の体当たり演技から読む

深津絵里、いつまでも失われぬ透明感

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 女優にとってありがたい仕事とはいえないだろう。しかし、深津は、雨風に打たれ、土にまみれ、川に入り、炭で顔が真っ黒になろうとも(こうしたシーンがあるのだ)、美しさを失わない。きっちり汚れているのに、だ。それって失敗なんじゃないの? と思うかもしれないが、物語上、鈴木一家は、外見はみすぼらしくなっていこうとも、絆を育んでいくため、この美しさに間違いはない。当初、不安がよぎった小日向との夫婦役も、どんどんしっくり見えてくる。深津は、デビュー以降、変わらずに持ち続ける透明さを武器に、作品の求める色に染まっていく。

 1988年に『1999年の夏休み』でスクリーンデビューを飾った深津。テレビドラマ『最高の片想い』、『踊る大捜査線』、『きらきらひかる』、『彼女たちの時代』、『カバチタレ!』、映画『(ハル)』、『踊る大捜査線』シリーズ、『悪人』、『ステキな金縛り』、『岸辺の旅』、舞台『キル』、『半神』、『あわれ彼女は娼婦』『春琴』などなど、多くの代表作を持ち、それぞれの役柄をきっちりと生きながらも、留まることなく次の役へと、彼女は自由にたおやかに進んで行く。スクリーンデビュー30年を前に、今なおしなやかに透明であり続ける稀有な女優である。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■公開情報
『サバイバルファミリー』
全国東宝系にて公開中
出演:小日向文世 深津絵里 泉澤祐希  葵わかな 菅原大吉 徳井 優 桂 雀々 森下能幸 田中要次
原案・脚本・監督:矢口史靖
(C)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

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