及川光博、『A LIFE』嫌味な役でも好感持たれる理由 役柄に深み持たせる“二面性”とは

及川光博、嫌味な役がハマる理由

 木村拓哉、浅野忠信、竹内結子、松山ケンイチなど、ドラマ『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)に出演する錚々たるメンバーと肩を並べながら、ひときわ異彩を放っている俳優が及川光博だ。

 本ドラマで及川光博が演じているのは、浅野扮する壇上記念病院副院長・壇上壮大の親友で、同病院第一外科部長を務める羽村圭吾。人当たりの良い性格で周囲からの評価も高く、後輩の井川颯太(松山ケンイチ)を気遣う面倒見の良い先輩としての一面を持つ。その一方で、壮大や木村拓哉演じる沖田一光に見せる言動からは、なにか腹に一物抱えているような底知れなさを感じさせる。

 及川は、これまでもバイプレイヤーとして重要な役どころを任されることが多く、映画『僕だけがいない街』のサイコパス役や『連続テレビ小説 とと姉ちゃん』の曲者編集者役など、ミステリアスな雰囲気を持つ役や二面性を持つ役柄に定評がある。ドラマフリークのライター・麦倉正樹氏は、そんな俳優としての及川光博の魅力を次のように語る。

「及川光博の芝居を見ていて驚くのは、陰湿さを持つキャラクターでも嫌味を感じさせることなく演じているところです。2016年に放送されたドラマ『坊っちゃん』(フジテレビ系)の赤シャツ役や『とと姉ちゃん』(NHK)で五反田役を演じた際も、陰湿さや軽薄さを持っているキャラでしたが、そこに嫌悪感を抱くことはありませんでした。羽村にしても、壇上壮大の腰巾着的な立ち位置から、沖田の行動に苦言を呈するキャラですが、サラッと演じている印象があります。いずれもクセのある役ですが、及川光博ならではのセリフの言い回しや芝居に“しつこさ”がないため、視聴者は親しみやすく見ることができるのかと。そもそも『相棒』で水谷豊からバディ役に指名されるほどの役者なので、その演技力の高さは折り紙付きです。さらにミュージシャンならではの気さくなイメージも持っているため、視聴者も好意的に受け止められるのでしょう」

 第5話の予告映像では、いつも冷静な羽村が感情的になり、沖田を殴るシーンが映し出されていた。麦倉氏は、最新話の及川に次のような期待を寄せる。

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