佐々木蔵之介、立体的な“キャラクター作り”の巧さ! 『破門』やくざ役のアプローチを読む

佐々木蔵之介、多面的な役作りの凄さ

 さらにもう一つの佐々木の魅力が、幅広い役柄をこなす俳優ということだろう。これまで映画、ドラマ、舞台と数々の作品に出演し、さまざまな役を演じてきた。「ハンチョウ」のように、長きに渡ってシリーズ化された作品もあるが、いい意味で「佐々木蔵之介と言えば○○○」というタイプキャスト的なイメージはない。本作のようなやくざから、気のいいお殿様、妻を愛する誠実な夫、刑事、医者……など、とにかくどんな役柄でも、前述したようなアプローチ方法で立体的にキャラクターを作り上げている。佐々木自身も「自分に色や個性があるわけではないので、幅広く『この役どうやったらええねん』みたいな役をやり続けていきたい」と語っている。

 今年は本作以外にも、大友啓史監督の『3月のライオン』や吉田大八監督の『美しい星』、篠原哲雄監督の『花戦さ』など、魅力的な監督がメガホンをとる作品への出演が控えており、佐々木の演技が存分に堪能できそうだ。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■公開情報
『破門 ふたりのヤクビョーガミ』
2017年1月28日より全国ロードショー
監督:小林聖太郎
出演:佐々木蔵之介 横山裕 北川景子 濱田崇裕ほか
原作:黒川博行 「破門」(角川文庫刊)
(c)2017『破門 ふたりのヤクビョーガミ』製作委員会

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