>  > 三木孝浩、音楽演出の巧さ

福士蒼汰 × 小松菜奈『ぼく明日』が感情を揺さぶる理由 三木孝浩監督の音楽演出に迫る

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 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のメガホンをとった三木孝浩監督。宮崎あおい主演の映画『ソラニン』で長編映画デビューを飾ると、恋愛映画を中心にコンスタントに作品を撮り、興行的にも成功を収めている。他の作品とは一線を画す三木監督作品の魅力に迫る。

 これまで三木監督が手掛けた商業映画を列記すると、前述した『ソラニン』以降、『管制塔』(11年)、『僕等がいた 前篇・後篇』(12年)、『陽だまりの彼女』(13年)、『ホットロード』(14年)、『アオハライド』(14年)、『くちびるに歌を』(15年)、『青空エール』(16年)、そして12月17日に公開を迎える『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』である。

 こう並べてみると、『ソラニン』、『管制塔』、『くちびるに歌を』、『青空エール』と音楽をモチーフにした作品が多いことがわかる。さらに、その他の作品も、劇中、効果的に音楽が使われていることが特徴として挙げられる。

 三木監督自身、もともとソニーミュージックに所属し、さまざまなアーティストのプロモーションビデオを製作していたという過去がある。映像と音楽の使い方についても「音楽というのは、色々な説明をふっ飛ばしてくれるところがあるんです」と語っていた。この言葉通り、三木監督の作品は、セリフや説明過多にならず、音楽と間でストーリーを進行させる部分が多い。このことは、観ている側に非常に大きな心理的作用をもたらす。

 人の感情が、セリフや行動などはっきりとした情報としてではなく、雰囲気や佇まいなどを通して自然な感覚として心に入ってくるのだ。こうした部分は三木監督も「主人公がこう思っているということをセリフや状況で説明するのではなく、メロディーひとつで『こう思っているんだろうな』と想像させて、次につなげるというのは経験値としてあります」と語っている。また三木監督は、作品のトーンを決める際、サウンドトラックを作って自身のイメージを膨らませるという。本作でも、監督自らがチョイスしたサントラを福士や小松に渡し、共通認識を深めたという。こうした演出方法も非常に特徴的だ。

 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』では、時間軸を利用したファンタジー要素が強いラブストーリーが展開されるだけに、状況設定にはある程度の説明が必要になる。そうした部分をどれだけ過多にならずに、物語に没入させるかが非常に重要なポイントとなってくるが、福士蒼汰演じる高寿と、小松菜奈扮する愛美のシーンでは、表情と間と音楽によるストーリー展開で二人の関係の多くを理解することができ、より一層感情に訴えかけてくるシーンが多かった。

 とかくベタになりがちなシチュエーション満載のストーリー(そういうベタを望んでいるという劇的欲求は否定しないが……)でも、三木監督のこうした手法により、ターゲット層ではない観客もスッと作品に入り込むことができる。こうした幅広い層に見やすい作品であるが故に、興行的にも成功する可能性は高い。実際『僕等がいた』は前後篇合わせて40億円を突破し、『陽だまりの彼女』18億円、『ホットロード』25億円、『アオハライド』19億円、『青空エール』12億円を超える興行成績を残している。

      

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