>  > 『FOR REAL』は傑作ドキュメンタリー映画だ

筒香嘉智が見せた“本気の顔”ーー『FOR REAL ベイスターズ、クライマックスへの真実。』レビュー

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 試合前には爆音でラテン音楽を流し踊る。選手だけではなく、監督やコーチにも大声を出しながらコミュニケーションをとり、文字通りチームのテンションを挙げ、試合中の姿しか知らない人にとっては、こんな一面もあったのかと大いに驚くことだろう。劇中、2014年(当時22歳)の頃の筒香が映し出されるが、その姿、顔付きは今とは別人と言っていいほど。歳を取れば、顔付きは変わるものだが、わずか3年間でここまで人は変わるのか?と思えるほど纏う雰囲気がまったく違う。誤解を恐れずに言えば、2014年の筒香は気弱で自信がない、そんな印象だった。

 元来、自分はキャプテンタイプではないし、喋ることも苦手だと話す筒香は、なぜここまで変わることができたのか。筒香は言う。

「本気になったら、恥ずかしいとか何も思わなくなった。チームのために、勝つためにやっているだけ。個人成績がすごい選手はいる、でも個人成績もすごくてチームも勝たせられる選手はそんなにいない。僕はそういう選手になりたい」(意訳)

 私たちは会社であれ、学校であれ、部活であれ、サークルであれ、何かコミュニティに所属するとき、“自分”を守るために、遠慮したり、我慢したり、建前を言うことがある。しかし、その組織の中で何かを成さなければいけないとき、自分を守ることは時におおきな足かせともなる。本気になったとき、人は変わる。そして、その本気は人に伝染していく。本作を観ながら、自分はどこまで本気になっているか、それを問わずにはいられなかった。

 チームは筒香を中心に変わった。若手選手たちがクライマックスシリーズの激闘を経験し、勝ち方と勝利への執念を得た1年だった。本稿では語ることができなかったが、本作で中心選手としてピックアップされた今永昇太、山﨑康晃、石田健大、桑原将志、梶谷隆幸らの姿を見れば、12球団で一番弱いと言われた負け犬チームではもうないと確信を持てるだろう。

 プロ野球という輝かしい舞台の裏で生まれる葛藤と苦悩、そして喜び。金澤裕太監督のチームの一員となる姿勢によって生まれた本作は、これまで私達が知ることのなかった世界を拡げ、自らへの問いも与えてくる。ファンだけではなく、多くの人に観てもらいたいドキュメンタリー映画だ。

(文=石井達也)

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■公開情報
『FOR REAL−ベイスターズ、クライマックスへの真実。−』
1月14日(土)より神奈川県6箇所にて2週間限定上映中
1月28日(土)DVD・Blu-ray発売
監督:金澤佑太
配給:ホリプロ
(c)YDB
公式サイト:http://www.baystars.co.jp/

      

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