AKB48宮脇咲良、苦手な“運動”を克服できるか? 『豆腐プロレス』第1話レビュー
21日の深夜からテレビ朝日系列でスタートした秋元康プロデュースのドラマ『豆腐プロレス』(テレビ朝日系)。25分の短い放送枠ということもあって、第1話では詰め込みすぎずにシンプルな導入にとどめた。これから2クールに渡って放送される物語のプロローグとしては、なかなか悪くない出来映えだろう。本ドラマは、女子プロレスの世界を舞台に、AKB48メンバーが本格的なトレーニングを経て、真剣勝負を繰り広げる模様を描く。
豆腐屋とプロレスジムを経営する父親に、男手ひとつで育てられた主人公の女子高生・宮脇咲良は、豆腐とプロレスをひどく嫌っていた。そんなある日、突然父親が急死してしまい、父の元弟子によってジムが奪われそうになるのだ。父のプロレスへの思いと、長年抱え続けていた葛藤を知った宮脇は、ジムを守るため、自らプロレスの世界に足を踏み入れることになる。
これまでのAKBグループ出演のドラマといえば、『マジすか学園』から始まり、前クールの『キャバすか学園』まで、随分と突拍子もない設定ばかりが独り歩きしている印象を受けてきた。今回も女子高生とプロレスというミスマッチな掛け合わせではあるが、オーソドックスな導入を入れることによって、多少なりともドラマらしさを強調することができたに違いない。
冒頭から、大歓声に包まれるリング上で松井珠理奈・兒玉遥ペアと、松村香織・島田晴香ペアの激しいタッグマッチが繰り広げられる。しかも、ゲストとして数多くの名実況で知られる古舘伊知郎が白熱した実況で花を添え、作品の掴みとしては充分すぎるほどだ。出演するAKBメンバーは、数か月に渡りプロからトレーニングを受けただけあって、技の決め方やプロレスとしての見せ方など、思いのほかしっかりとしている。
とくに島田・松村ペアは、実に様になっているのが面白い。ヒール的なポジションなのだろうか、顔にペイントを入れ、力強い印象を漲らせ、とても楽しそうに演技しているのは好印象に映る。これから回を追うごとに、多くのメンバーがトレーニングの成果を見せてくれるだろうが、やはり不安材料は運動神経の悪さが有名な宮脇咲良だ。
次世代のAKBグループを担うメンバーとして、2015年に『マジすか学園4』で初めて主演を務めたときの芝居は、ただ歩いているだけの演技と、ぎこちない動きが目立ち、お世辞にも良かったとは言い難いものがあった。その当時から比べてみれば、今回の第1話での台詞回しも、表情の作り方や所作も、だいぶ良くなってきている印象を受ける。あとは要となるプロレス場面で、苦手な運動を克服し、主人公としての貫録を見せつけることができるかどうかだ。このドラマの出来は、ここに懸かっていると言ってもいいだろう。