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年末企画:木村隆志の「2016年 年間ベストドラマTOP5」

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 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2016年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマの三つのカテゴリーに分け、国内ドラマの場合は地上波および配信で発表された作品から5タイトルを選出。第十五回の選者は、リアルサウンド映画部で「木村隆志のドラマトレンド解説」を連載中のテレビ・ドラマ解説者・木村隆志。(編集部)

1.脚本『真田丸』(NHK)
2.演出『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)
3.主演男優『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)
4.主演女優『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)
5.助演俳優『重版出来!』(TBS系)

 “脚本”は、三谷幸喜の『真田丸』で文句なし。自称「大河ドラマ・マニア」の三谷が、史実をベースにしつつ、真田家目線を徹底した筋書きは出色だった。男性には弱さや醜さ、女性には強さと凛々しさを与えることで、有名無名を問わず全ての人物に血が通い、主人公の真田信繁ですら特別扱いせず。「黙れ小童!」などの遊び心に加え、次期大河ドラマ『おんな城主 直虎』にエールを送る粋なはからいも見せた。脚本家にとって最難関と言える年間ドラマを飽きられることなく、最終回まで駆け抜けられるのは、限られた脚本家だけだ。

 脚本の次点は、野木亜紀子の『重版出来!』とバカリズムの『黒い十人の女』。

 “演出”は、金子文紀、土井裕泰、石井康晴の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。「ハグだけでまるごと1話使う」、近年まれにみるスローテンポな脚本だったが、間延びするシーンはほとんど見られず。全てのキャラクターを尊重するようなスタンスで撮り、ネットクチコミを呼ぶ小ネタもさりげなく散りばめた。他番組のコメディは、むしろ裏目に出ることの方が多く演出家の力が問われるところだが、みくりのキュートさを前面に押し出すことでクリア。脚本とプロデューサーの仕掛けを全面的に受け止めて、見事に昇華させていた。

 演出の次点は、『ちかえもん』(NHK)と『ラブラブエイリアン』(フジテレビ系)。

 “主演男優”は、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の高良健吾。連ドラの主演にしてはセリフの量が少なく、表情や仕草だけで演じなければいけないシーンが多かったが、ブレずに“素朴な好青年”を演じ切った。震災を経た終盤、無茶振りのようにキャラ変を余儀なくされたが、“怖い男”も高良の十八番であり問題なし。当作で連ドラ主演に値する存在であることを示した。

 主演俳優の次点は、『仰げば尊し』(TBS系)の寺尾聰と、『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系)の唐沢寿明。

 “主演女優”は、『毒島ゆり子のせきらら日記』の前田敦子。恋愛依存症で、「愛されたい」「一人になりたくない」と、男性に甘え、泣き叫ぶヒロインがハマリ役。少しずつボロボロになる心境を吐露するモノローグも真に迫るものがあった。深夜ドラマらしいベッドシーンにも果敢にトライ。さまざまなタイプの男優とのラブシーンを経て、一気に色気の漂う女優に変貌した。政治記者としての役作りも含め、「体当たりで役に挑む」という演技スタイルを見つけられたのではないか。

 主演女優の次点は、『ナオミとカナコ』(フジテレビ系)の内田有紀と、『逃げるは恥だが役に立つ』の新垣結衣。

 “助演俳優”は、『重版出来!』。オダギリジョー、松重豊、安田顕、荒川良々、小日向文世、生瀬勝久、滝藤賢一、ムロツヨシ、高田純次ら、中堅・ベテランを贅沢に起用。主演の黒木華を引き立てながら、自らのキャラクターにもしっかり息を吹き込んでいた。さらに、新人漫画家役で起用された永山絢斗、中川大志、高月彩良も、若手助演としての役割をきっちり。等身大の魅力を放つとともに、作品に熱や勢いをもたらしていた。

助演俳優の次点は、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)の安藤サクラ、太賀と、『砂の塔~知りすぎた隣人~』(TBS系)の松嶋菜々子、佐野勇斗。

【TOP5で取り上げた作品に関連するレビュー】
『真田丸』ラストシーンに見る、三谷幸喜脚本の本質 “笑い”ではなく“人間くささ”貫く
高良健吾&永山絢斗、NHKに寵愛される理由は? 『べっぴんさん』に見る“間”と“怖さ”の演技
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■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間約20本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

■番組情報
『逃げるは恥だが役に立つ』
製作著作:TBS
原作:海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」(講談社“Kiss”)
脚本:野木亜紀子
出演:新垣結衣、星野源、石田ゆり子、藤井隆、真野恵里菜、葉山奨之、古田新太、宇梶剛士、富田靖子ほか
プロデューサー:那須田淳、峠田浩、宮﨑真佐子
演出:金子文紀、土井裕泰、石井康晴
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/NIGEHAJI_tbs/

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