全席プレミアシート、しかも追加料金なし! アメリカ映画館の最新事情レポート
基本料金、一般1800円。映画の鑑賞料金が高いと言われがちな日本だが、最近はアメリカも日本と同じような料金体系だと耳にすることが多い。筆者が海外に留学していた10年前は、当時まだ学生だったこと、留学先がニューヨークやロサンゼルスなどの大都市ではないミネソタ州セントポールだったということもあり、旧作だと$5、新作でも$10払えばお釣りがもらえるほどで、アメリカの映画鑑賞料金は安いというイメージがずっとついていたのである。
そこで今回、取材で米カリフォルニア州サンフランシスコに行く機会があったので、取材の合間を縫って、現地の映画館を訪れてみることにした。
ポップコーンとドリンクのセットが映画鑑賞料金よりも高い!
まず筆者が訪れたのは、米国第2位の映画興行チェーン「AMCシアターズ」が運営する「AMC Van Ness 14」。サンフランシスコのダウンタウンから少し離れた場所に位置する映画館だ。外観はさながら銀行のよう。もともとはキャデラックのディーラーだったそうだ。
チケットは有人のチケットカウンターで購入する方式。ネット購入は可能だが、日本のシネコンではすでに当たり前となりつつあるデジタル券売機の設置はない。せっかくなので、日本では公開されないであろう作品をチェックしようと思い、ヘイリー・スタインフェルド主演の『The Edge of Seventeen』を鑑賞することに。料金は$13.99。日本円に換算すると、約1600円なので、日本よりは若干安い程度だ。
チケットをもぎられ中に入って行くと、数フロアに渡って全14スクリーンが配置されていることが確認できた。しかし、オープンしていないスクリーンがあったり、各フロアにコンセッションがあるにもかかわらず1店舗しか営業していなかったりと、平日の午後ということもあってか客足がまばらで閑散とした印象だ。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』をはじめとするダイナミックなスタンディも少し寂しそう。
普段、ドリンクを買うことはあってもポップコーンをはじめとするフードを映画館で買うことはほぼない筆者だが、せっかくなので本場アメリカのポップコーンを食べようとコンセッションへ。ここで驚いたのが、その値段だ。ポップコーン(最大サイズ)とドリンクのセットで$15.59。日本円にすると、約1800円。映画鑑賞料金以上の高さに思わず「高ぇ……」と口に出してしまった。結局、$5.19(約600円)のドリンクのSサイズ(と言っても日本のXLサイズレベル)だけを購入し、上映スクリーンへ。
場内は本編上映前の予告編が流れる段階で客電が落ちていた。席は自由席で、車椅子用の座席が場内ど真ん中のベストポジションに3席設置されているのが印象的だ。スクリーンは全77席に対して十分すぎる大きさ。観客は筆者と2組のカップルの計5名という寂しいものだったが、数々の賞を受賞した『トゥルー・グリット』でのキャリアスタートから、最近は『ピッチ・パーフェクト2』の好演やシンガーとしても目覚ましい活躍を見せているスタインフェルドのコメディエンヌとしての魅力がとても詰まった作品に満足しつつ、劇場を後に。