『君の名は。』失速ながらも首位奪還 『溺れるナイフ』は好スタート!

『溺れるナイフ』好スタート!
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 先々週末に続いて、先週末も繰り広げられた『君の名は。』と『デスノート Light up the NEW world』のトップ争い。結果は『君の名は。』が首位を奪還し、これで1週空いて通算10週目の1位に。ここで注目したいのはその数字だ。先週末の土日2日間の動員は21万8000人、興収は2億9700万円。公開以来、週末の興行で3億を下回ったのはこれが初めて。『君の名は。』のこの1ヶ月の興収推移を見ると、7億→4億6800万円→4億7600万円→3億8100万→2億9700万と、3週前に一回持ち直したものの、確実に失速が続いている。週末だけで約3億の興収はそれでも立派な数字だが、公開館数/上映回数は今のところ減っていないので、「ちょっと観てみたいけど、劇場混んでるんだろうなぁ」とぼんやり考えていた人はチャンスですよ。

 1位『君の名は。』、2位『デスノート Light up the NEW world』、3位『インフェルノ』と、全国300スクリーン前後で大規模公開されているトップ3の作品に続いて、4位に初登場したのは、それらの約半分となる全国162スクリーンで公開された山戸結希監督、小松菜奈&菅田将暉主演の『溺れるナイフ』。オープニング2日間の動員は8万4000人、興収は1億500万円。都市部での劇場では満席も見られ、その大部分はティーンの女の子のペア&グループだったとの報告が上がっている。今後の課題は、地方の映画館での動員と、男性客の集客ということになるだろう。

 というのも、『溺れるナイフ』は、東京でローティーン向けファッション誌のモデルとして売れっ子だった主人公が、親の都合で田舎の町(和歌山県)に引っ越して「芸能界」を引退するところから始まる物語なのだ。東京、及び地方都市を舞台とする作品が中心の少女コミック原作映画の中にあって、明確に「雄大な自然以外は何もない田舎で暮らす中学生・高校生の男女」の生態が作品の根幹に関わっている。そういう意味では、都会で暮らす男子高校生と、田舎で暮らす女子高校生の生活の対比によって物語が駆動していく『君の名は。』にも通じるテーマを扱っているとも言えるだろう。ちなみに『溺れるナイフ』には、『君の名は。』で主人公の三葉を演じていた「もねねん」こと上白石萌音も重要な役どころで出演。2016年の日本映画を語る上で、『ちはやふる』『君の名は。』『溺れるナイフ』の「もねねん3部作」は絶対に欠かせないというのが自分の主張である。

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