『星ガ丘ワンダーランド』『怒り』『何者』……日本映画界のいまが見える、豪華キャストの群像劇

『星ガ丘ワンダーランド』に見る俳優界のいま

5月に公開された『ディストラクション・ベイビーズ』は柳楽優弥が演じる人間の姿をしたモンスターを中心に、菅田将暉、小松菜奈、でんでん、三浦誠己、池松壮亮らが、キャラクターを通して人間の灰汁や澱みを浮かび上がらせる。そんななか、まだ無垢な存在を、まだ役者として色のついていない村上虹郎が体現する。限りなくインディペンデントに近いこの作品に、この曲者キャストが揃ったということは、脚本も手がけた真利子哲也監督の才能がそれだけ注目を集めている証拠だろう。

 ある殺人事件を軸に、沖縄、東京、千葉で3つのストーリーが進行する『怒り』もまた、若き巨匠、李相日監督だからこそ、渡辺謙、妻夫木聡、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、広瀬すずという、名実ともに日本を代表する主演俳優たちが結集したといえる。

 山田孝之が演じる丑嶋が社長を務める闇金「カウカウファイナンス」の客たちの人生模様が交錯する『闇金ウシジマくん』シリーズ。これから公開されるPart3とthe finalでは、本郷奏多、浜野謙太、永山絢斗、太賀、安藤政信らがゲストとして出演する。シリーズ開始当初に比べ、明らかにゲスト俳優のバリューが高くなっているのは、シリーズが認知されたことと、シリーズの中心を担う山田孝之の求心力にある。

 『何者』は、SNS世代の就活生たちを通して人間をえぐる、痛みを伴う青春映画。佐藤健、菅田将暉、二階堂ふみ、岡田将生、有村架純らが就活生を、先輩の院生を山田孝之が演じる。『桐島、部活やめるってよ。』で高校という限定された場所での人間関係を描いた群像小説の名手・朝井リョウと、やはり群像劇といえる『愛の渦』でセンセーションを巻き起こしたポツドールの三浦大輔がマッチングする企画に、若手のトップランナーが参加した。

 偶然か、必然か、ここに挙げた作品はどれも、人間の弱さや暗い部分、今の日本社会が抱える問題にフォーカスを当てた、作り手の熱量が感じられるものばかり。そこに参加した力のある俳優陣が、どんなケミストリーを起こしているのかを、見逃す手はない。

■須永貴子
インタビュアー、ライター。映画を中心に、俳優や監督、お笑い芸人、アイドル、企業家から市井の人までインタビュー仕事多数。

◼︎商品情報
『「星ガ丘ワンダーランド」スタンダード・エディション』
発売:9月7日
価格:¥3,800 + 税
品番:KIBF-1435
収録時間:本編112分
仕様:カラー 16:9LB 片面2層
音声:日本語 ドルビーデジタル(5.1サラウンド)
字幕:なし
商品仕様:トールケース

『「星ガ丘ワンダーランド」プレミアム・エディション』【期間限定生産】
発売:9月7日
価格:¥5,800 + 税
品番:KIXF-90413
<本編Blu-ray>
収録時間:本編112分
仕様:カラー 1080 Hi-Def(16:9) 2層
音声/本編:日本語 DTS-HD Master Audio(5.1chサラウンド)
字幕:なし
<特典DVD>
収録時間:映像特典約40分予定
仕様:カラー 16:9LB 片面1層
音声/本編:日本語/ドルビーデジタル(ステレオ)
字幕:なし

出演:中村倫也 新井浩文 佐々木希 菅田将暉 杏 市原隼人 木村佳乃 松重豊ほか
監 督: 柳沢翔
脚本:前田こうこ 柳沢翔
製作:「星ガ丘ワンダーランド」製作委員会
企画・制作:アルケミー・プロダクションズ
制作プロダクション:スタジオブルー
配給:ファントム・フィルム
(c)2015「星ガ丘ワンダーランド」製作委員会
公式サイト:http://hoshigaoka-movie.com/

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