『星ガ丘ワンダーランド』『怒り』『何者』……日本映画界のいまが見える、豪華キャストの群像劇

『星ガ丘ワンダーランド』に見る俳優界のいま

 主演の中村倫也をはじめ、新井浩文、菅田将暉、杏、市原隼人、松重豊ら、今の日本映画界を支える実力派俳優がバランスよくキャスティングされた『星ガ丘ワンダーランド』。その舞台は、冬になると雪が降りしきる地方にある、星ガ丘。駅員として働いている温人(はると・中村倫也)は、20年前に家族を捨てて家を出た母(木村佳乃)との再会を日々願っていたが、届いたのは彼女が自殺したというニュースだった。

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 この20年の間に母親に何があったのか? そもそも母親は本当に自殺したのか? だったらなぜ、300万円という大金を持って家を出たのか? いきなり殴りかかってきた異父兄弟の雄哉(菅田将暉)が放った「(母親に)金をせびってたのかよ!」という言葉の意味はなんなのか? 母親へのやりきれない思慕を抱きながら、数々の疑問と自分の過去に向き合う温人を観客は見守る。その一方で観客は、父(松重豊)の死後、温人はなぜ兄(新井浩文)と疎遠なのか、という謎にも引き寄せられながら、物語の見届け人となる。

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 好青年だが、過去の哀しみを抱えたまま大人になった温人を、控えめながらも印象的に演じるのは中村倫也。05年に『七人の弔い』でデビュー後、映画、ドラマ、舞台で経験を積んできた。30歳を迎える今年、この『星ガ丘ワンダーランド』に主演した他、7月クールのドラマ「闇金ウシジマくん Season3」では主人公の女性編集者(光宗薫)に近づき、彼女の家族を地獄に叩き落とすDVサイコ野郎の神堂大道役でインパクトを与えたばかり。また、上演中の舞台『Vamp Bamboo burn~ヴァン!バン!バーン!~』では、劇団☆新感線初参加にして、物語の鍵を握る重要な役を演じきっている。これからも、硬軟善悪どんな役でも演じられる役者として、ますます注目度が高まりそうだ。

 中村が演じる温人が関わる人々は、それぞれを主人公にして映画を作れるくらい、“何か”を抱えている。決して多くはない出演シーンで、“何かを抱えているキャラクターであること”を、的確に表現する役者たちの演技は鮮やかの一言であり、それこそが群像劇の醍醐味だろう。

 主演級の俳優が競演する、見応えのある群像劇は他にもある。

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