『ニュースの真相』ジェームズ・ヴァンダービルト監督インタビュー
「眠っていたジャーナリストへの憧れが甦ってきた」 『ニュースの真相』監督インタビュー
「生涯に1本しか映画を撮れないとしたら、この作品を撮りたかった」
ーー『ゾディアック』や『アメイジング・スパイダーマン』、『ホワイトハウス・ダウン』など、10年以上脚本家として活躍してきたあなたが、このタイミングで監督をやろうと思ったのには、このストーリーに惹かれたこと以外にも何か理由があるのでしょうか?
ヴァンダービルト:いい質問だね。それにはたくさんの理由があるんだ。まず、非常に幸運なことに、僕は脚本家としてこれまで素晴らしい監督やプロデューサー、役者たちと仕事をすることができた。監督で言うと、デヴィッド・フィンチャーやピーター・バーグ、ローランド・エメリッヒたちだ。彼らのような素晴らしい監督たちと仕事をしていく中で、自分も彼らがやっているようなことをできるんだろうかということを思い始めたんだ。僕自身はもともとストーリーテラーになりたかったわけだけど、映画を監督することもひとつのストーリーテリングであるわけだからね。それを自分が楽しめるかどうかを試してみたいと思ったんだ。それと、メアリーのストーリーに非常に感動したことが大きい。周りを見渡してみても、1本映画を撮ったからといって、続けて監督ができるわけではない。結局1本しか監督できなかった人もたくさんいるわけだからね。もし僕が生涯に1本しか映画を撮ることができないとしたら、何を撮りたいだろうと考えた時、まさにこのストーリーで監督をしたいと思ったんだ。
ーーフィンチャーやエメリッヒはエンドクレジットにも名前が載っていましたね。
ヴァンダービルト:彼らは本当に素晴らしい監督で、今回の作品に関してもアドバイスをたくさんもらったよ。彼ら以外にも僕が尊敬しているたくさんの人たちからアドバイスをもらったんだけど、デヴィッドとローランドには、一緒にランチをしようと言って、2〜3時間ほど一緒に過ごしたんだ。2人には聞きたいことがたくさんあった。僕はノートを持って行って、いろいろなことをメモしたよ。1番聞きたかったのは、“初監督作を手がけた時、何を事前に知っておきたかったか”ということだった。1人で部屋に閉じこもって頭の中でいろいろな想像をしながらストーリーを作り上げていく脚本の執筆とは違い、監督は、非常に大きな部屋で何百人もの人を前に仕事をしなければいけない。コミュニケーションやタイムマネジメントが必要になるわけさ。だから、まったく違う作業をするにあたって、どういう準備が必要なのか、僕は事前に入念に準備しておきたかったんだ。彼らからもらったアドバイスはすべてノートにメモしたよ。とても役に立ったし、助かった。彼らには本当に感謝しているよ。
(取材・文=宮川翔)
■公開情報
『ニュースの真相』
8月5日(土)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次ロードショー
出演:ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード、エリザベス・モス、トファー・グレイス、デニス・クエイド、ステイシー・キーチ
脚本・監督:ジェイムズ・ヴァンダービルト
配給:キノフィルムズ
原題:「TRUTH」/2015年/アメリカ・オーストラリア/125分/シネスコ
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公式サイト:truth-movie.jp