『ズートピア』は“動物アニメ”を改革した 動物によるハイテク社会のおもしろさ

 動物が登場するアニメーションというと、つい子供向け映画を連想しがちだが、今回ディズニーが自信を持って贈る『ズートピア』はこれまでのアニマル映画とは違い、大人の鑑賞にも耐え得る作品に仕上がっている。動物たちが人間のように暮らす大都会“ズートピア”を舞台に、大志を抱いて田舎から出て来たウサギの新米警官ジュディの奮闘を描く本作。見どころは、“望めば夢は叶う”と信じて疑わない主人公の前向きな姿勢と、超ハイテク文明社会で生きる個性的な動物たちのキャラクターだ。

 

 何はともあれこの作品のすごいところは、それぞれの動物たちが等身大のリアルサイズで描かれている点。体長約30センチのウサギや、90センチほどのキツネ、1.5メートルのカバやおよそ2~3メートルの巨漢のサイや水牛たちが仲良く同じ場所で暮らしているのだから、その体格の差は一目瞭然! いくらウサギが警察官になることを夢見ても、その小ささではいくらがんばってもムキムキマンのカバやサイには勝てないかも……と心が折れそうになっても仕方ないと思ってしまう。

 

 これまでも『ミッキーマウス』や『トムとジェリー』の時代から、『ベイブ』『マダガスカル』『ファインディング・ニモ』まで、人間の言葉を話す擬人化されたファニー・アニマルたちが登場する映画は多数作られてきた。だが、『ズートピア』がそれらの作品と一線を画すのは、リアルサイズの動物たちを登場させたという点はもとより、本来それぞれの動物たちに備わっている習性や行動を生かし、スクリーン上にズートピア=動物たちの楽園も見事に再現してみせたという点にもある。ここでの主役はもちろんこの街を自主運営する動物たちで、彼らが人間の作ったルールに縛られたり、翻弄されたりする必要がないのも重要なポイントのひとつだ。
 
 さらに地域ごとに完成された、熱帯雨林の“レインフォレスト地区”、小さなネズミたちが生活する“リトル・ローデンシア”、ズートピア随一の大都会であるダウンタウンの“サバンナ・セントラル”、北極の動物たちが住む“ツンドラ・タウン”、郊外の片田舎“バニーバロウ”などの超リアルな街並も楽しい。見ているだけでさまざまな動物たちの王国を旅している冒険気分も同時に味わえるのもこの映画の魅力。中でもウサギのジュディが、最小サイズのネズミたちの街“リトル・ローデンシア”に偶然入り込み、ネズミたちを踏みつぶさないよう、まるでキングコングさながらビルの合間を縫って歩く姿は最高に笑える。

 

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