米倉涼子、なぜ『家政婦は見た!』が新・当たり役に? 松本清張原作ドラマとの相性から考える
「家族のドロドロとした内面を暴く沢口信子役は、そのルックスの面ではたしかに米倉涼子さんの新境地といえるでしょう。クールなイメージとギャップのある姿は、それだけでコスプレ的な面白さがあります。ところが、意地悪な性格の持ち主で、腹黒い一家を懲らしめるという役柄は、実は彼女のキャリアの延長線上にあるものです。もともと、松本清張原作作品でキャリアアップしてきた彼女は、ヒロインを演じるといっても、シンプルな正義だけを振りかざしてきたわけではありません。“悪をもって悪を制す”ようなやり方は、むしろ彼女の真骨頂といえます。実は『家政婦は見た!』は、『熱い空気』という松本清張の短編に登場する家政婦を主人公にして作られたドラマシリーズです。『熱い空気』は2012年に松本清張没後20年を記念して米倉涼子主演でドラマ化されていて、その成功を受けて『家政婦が見た!』は改めてリメイクされました。同じ松本清張原作作品と考えると米倉にとっては原点回帰とも言え、ようやくこの役柄にたどり着いたという印象です。今作の評判も高ければ、連続ドラマとなる可能性もあるでしょう」
米倉版の『家政婦は見た!』は、市原悦子版の後継作品として定着していくのかもしれない。まずは今夜のスペシャルドラマで、そのダーティーヒロインぶりを堪能してみたい。
(文=編集部)