錦戸亮と神木隆之介のコンビ絶好調ーー『サムライせんせい』における絶妙なバランス感を読む
それだけではない。初めて武市と対峙したときに見せた、神木の華麗なる太刀さばきとしなやかな身のこなし。恐らく、映画『るろうに剣心』の現場で体得したであろうその所作は、思わず刮目してしまうほどカッコ良かった。対する錦戸武市も、実に堂々たるものである。さらに加えて、神木龍馬は、何やら気になるミステリアスな横顔も、次第に覗かせてゆくのだった。第1話で武市に成敗された逃走中の殺人犯をはじめ、世間を騒がせている凶悪犯たちが軒並み閲覧している謎のホームページ「平成建白書」とは、一体何なのか。そして、第4話の最後、そのページにこっそりログインし、虚空を見つめる神木龍馬の表情は何を意味しているのか。これは彼が作ったページなのか? それとも、彼ら同様、過去から現代にやってきた、別の誰かの仕業なのか? いずれにせよ、基本的なトーンは、緩くて軽いコメディでありながら、時折見せる殺陣のカッコ良さや謎に満ちた「平成建白書」の存在など、締めるところはきっちり締める『サムライ先生』。そこで錦戸・神木コンビは、どんな新しい武市・龍馬像を描き出していくのだろうか? 非常に気になるところである。
(文=麦倉正樹)