松山ケンイチ、『の・ようなもの のようなもの』舞台挨拶で故・森田芳光監督への思いを語る

『の・ようなもの のようなもの』会見レポ

 続いて、杉山監督が、今回の企画を持ちかけられたときの正直な心境を吐露。「最初にこの話をいただいたときは、ファンの期待を裏切ることになるんじゃないかと、正直尻ごみしました。ただ、森田監督と長いあいだつき合ってきて、『こんなとき、監督だったら何で言うかな?』って思ったら、監督も自ら黒澤明監督の『椿三十郎』をリメイクするぐらいの人ですから、自分の続編ぐらい『やっちゃえよ?』というような気がして。それならもう、監督の遺産……森田映画の出演者やスタッフをふんだんに使って、逆に居直って撮ってみようと決意しました」と、当時の心境と本作に臨む気構えを語った。

 その後、司会者から、歴代キャストやスタッフなど森田組が再集合した現場の雰囲気について尋ねられた北川は、「今回初めてお会いしたキャストの方も結構いらっしゃったんですけど、やっぱり“森田チルドレン”として同じ雰囲気を感じるのか、伊藤さんとも初めてお会いした感じがしなかったですし、ケンイチ君とも久々だったのですが、森田さんと一緒に仕事をしてきたチームということで、ひとつの家族のようなアットホームな雰囲気がありました」と返答。続けて伊藤が、「多分、私がいちばん多く森田監督の作品に出ていると思いますけど、森田監督の現場は、いつもすごく楽しいんですよね。で、今回は会う人会う人が顔馴染みで……何か同窓会みたいな雰囲気でした。そういう雰囲気を、森田監督の現場をいちばん知っている杉山監督が作ってくれたので、毎日仕事行くのが楽しかったです」と語った。

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 最後に、キャスト及びスタッフを代表して挨拶を求められた杉山監督は、「先ほど、『の・ようなもの』を観てないお客さんでも、十分楽しめるものになっていると言いましたが、この映画を観てちょっとでも興味が湧いたら、是非『の・ようなもの』を観てください。それでもう一度今作観ていただけると、この良さがさらに分かると思います」と、本作の楽しみ方を提示。それを受けて、思い出したように、松山が森田監督とのエピソードを語り始めた。「今、こうやって景子ちゃんと舞台挨拶させていただいて思い出すのは、森田監督の『サウスバウンド』(2007年)のときのことです。その映画の舞台挨拶を、僕と景子ちゃんと監督の3人でやったとき、監督に『次は景子ちゃんと松山のふたりでラブストーリーを撮りたいね』って言っていただいて」。時折、北川の顔を見ながら、当時の心境を確認し合うように松山は続ける。「監督は亡くなってしまいましたけど、それが今回こういう形で実現できたのかなって思いました。この映画は、ラブストーリーのようなものでもあり、青春映画のようなものでもあり……いろんな“のようなもの”が詰まった作品です。でも、その“のようなもの”のなかには、きっと観ていただける方それぞれが“のようなもの”じゃないと感じるものが見つかるような気がします。是非、楽しんでください」。

(取材・文=麦倉正樹)

■公開情報
『の・ようなもの のようなもの』
2016年1月16日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開
出演:松山ケンイチ 北川景子 /伊藤克信 尾藤イサオ でんでん 野村宏伸 /鈴木亮平 ピエール瀧 佐々木蔵之介 塚地武雅
宮川一朗太 鈴木京香 仲村トオル 笹野高史 内海桂子/三田佳子
原案:森田芳光 監督:杉山泰一 脚本:堀口正樹
配給:松竹
(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会

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