漫画アプリ「ブックライブ fun」の挑戦・後編 コンテンツ輸入の仕掛け人が語る、中国発縦スクロール漫画の特徴と現地の熱狂

(左から)BookLive 編成・運営本部長 宮下聡氏、ライツビジネス部長 梁俊明氏

 国内最大級の総合電子書籍ストア「ブックライブ」を運営するBookLiveは、今年の5月から新たな漫画アプリ「ブックライブ fun(ブックライブ ファン)」の提供を開始した。

前編の記事はこちら 漫画アプリ「ブックライブ fun」の挑戦・前編 独占配信の中国コンテンツとブックライブで培ったナレッジが武器

 本アプリで注目すべきなのは、『スキャンダラスな女(粉碎星辰)』や『気づかない初恋(再度与你)』などの“中国発縦スクロール漫画”の独占配信を行っている点だ。

 国内では、『六本木クラス』のドラマ化や、様々な企業が制作スタジオの参入を発表するなど、韓国発縦スクロール漫画・Webtoonが存在感を日に日に高めているなか、BookLiveが着目する中国発の作品たち。

 後編では、同社でライツビジネス部長を務める梁俊明氏に、中国発縦スクロール漫画の市場背景やトレンドについてうかがった。(ちゃんめい)

隆盛期を迎えている国のヒット作を日本へ

――まず、「ブックライブ fun」で独占配信されている中国発縦スクロール漫画は、どのようにして作品を探して掲載交渉を進めているのでしょうか。

梁:中国最大級のマンガプラットフォーム「快看(クワイカン)」をはじめとする複数の権利元様からコンテンツをお預かりしているのですが、作品の選定に関しては、シンプルに本国でヒットしているものを持ってきています。

 まず、縦スクロール漫画は、韓国はもちろんのこと、中国でも隆盛期を迎えています。本来なら、アクション系の異世界転生モノなど日本市場でも人気の出そうなジャンルを取り扱いたくなるところですが、反対に、隆盛の真っ只中である国でヒットしている作品を日本に持ってきたらどうなるのか? という観点がありました。ですので、仕入れの選定軸は本国で話題になっているもの、ヒットしているものに設定しています。

――掲載交渉は最初からスムーズに進んだのでしょうか。

梁:結果的に、私たちが日本初で独占配信できたことからもわかるように、当時は中国の版権元様もまだ日本市場へのチャレンジが出来ていない状態だったんです。

 ですので、お預かりしたコンテンツは「ブックライブ fun」という新しい漫画アプリで配信し、きちんと広告費もかけて露出していくというアピールポイントを出しながら作品を獲得していきました。また、弊社が国内最大級の総合電子書籍ストア「ブックライブ」を運営しているということもあり、安心してコンテンツを預けて下さったように感じます。

「読書体験を左右するのは、ローカライズとカルチャライズ」

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