こんまりが語る、ときめきの正体と本棚整理術 「片づけを通じて本当に大切なものに気付き、人生が変わっていく」

こんまり流・本棚の整理術

――僕の話なんですけど、片づけが全くできないんですよ。

近藤:わかります。

――(笑)もうバレてる。そういう読者にも本作は、ヒントみたいなのはあるんでしょうか。 

近藤:あります。ヒントだらけです。この本の登場人物は、何かしらモヤモヤを抱えている。新社会人として独立するため実家を出る女性、仕事に忙殺されて汚部屋になってしまった男性、子育てが終わった女性‥‥。彼らが、片づけを通じて自分にとって本当に大切なものに気付き、人生が変わっていく。どんな方でも共感する部分が必ずあるはずです。

 そもそも神田さん(筆者)は片づけたいと思っているんですか?

――いや、思っているんです。僕は極力、自分の必要なモノ以外は捨てたいと思っているんですけども、溜まっていく。それが整理されることもなく溜まっていくんです。ぐちゃぐちゃなんです。ダンボールが積み上がっているんです。その中に何が入っていたのか、わかんない状況で、手がつけられないんです。怖くて。

近藤:そういう状況こそ、こんまり®︎メソッドが一番効きます。一番強い劇薬みたいなものなので。

――僕の片づけられないモノってたぶんほとんど本だと思うんですけど、本の片づけ方って特別な方法があったりするんですか。本書の「歌う書斎」でも、本が溢れた書斎を片づけられなかった新聞記者が登場しますね。

近藤:本は捨てられないモノの代表格なんです。そのコツは、本棚から全部出すというつらい作業を一回してもらう。全員に嫌だと言われるんです。でも、私が現場にお伺いしたら強制的に絶対いたします。この威力がまた凄まじくて。本棚にある状態で、残すか残さないかを選ぶのとでは結果が違う。見たまんまだと選べない人たちも、一回出して触ってみると、ちゃんと残すモノ、残さないモノを選べるようになる。


――本書のベースには「片づけには物語がある」という考えがあると思うんですけど、やはりそういうふうに思われますか。

近藤:思います。片づけをするたびに思います。お家の中にあるモノは、その方が全部選んだモノで何かしらの理由があって、その方の人生が表れている。それを見直していく作業なんです。特に人生についての会話をしていなくても、片づけをしているだけで、見えてきちゃう。お客さま自身が喋ってくださる。人生の一歩を映したものだなと思います。

――人生があまりうまくいってない人がその人生を変えたかったら、片づけをするというのもひとつの手段かもしれないですね。

近藤:ひとつの手段としておすすめですね。自分が次に何の手を打つのか、どこを変えたいのかというところが、見えてくると思います。

――ものすごく多彩にご活動されてますけども、今後、特にどういうお仕事に注力していきますか。

近藤:今はこの『おしゃべりな部屋』という本が、私が一番注力するべきことだと思っています。『人生がときめく片づけの魔法』の出版から12年経ってしまったんですけど、まだ片づけが終わっていないとか、今度こそ片づけたいと思っていらっしゃる方を後押しするのに、最高のツールだと思っています。『おしゃべりな部屋』を読んでいただくことで、一人でも多くの方に片づけの悩みから開放されたときめく人生を手に入れていただきたいなと思っています。

――ありがとうございました。

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