Ado、M!LK、ポルノグラフィティ、JO1、玉置浩二・ASKA、LEE JISOO……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、Ado「好きでいて」、M!LK「時空超えてユニバース」、ポルノグラフィティ「マスク・ド・カメロ」、JO1「IGNITE」、玉置浩二・ASKA「音銀河」、LEE JISOO「MISMATCH」の6作品をピックアップした。(編集部)
Ado「好きでいて」
恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』(ABEMA)新シリーズの挿入歌となる新曲。“恋の修学旅行”をテーマに現役高校生の恋模様を追う番組なので、作詞作曲を手がけるamazutiチームは淡く透明な王道のバラードを用意。Ado自身も低い声で凄みをきかせたり巻き舌を披露することなく、曲の世界観に静かに寄り添っている。作り手と歌い手がどれだけ“遊べる技術”を持っているかを知っていれば、無難に落ち着いた路線とも言えるのだが、よく聴けば〈温かくて 痛い〉心を描き出す作詞者・敬也-amazuti-の仕事がものすごく丁寧だ。〈嬉しかった ほんとに〉というような、何の修辞も比喩もない歌詞は逆に難しい。10代の不器用な気持ちを思い浮かべて聴きたい。(石井)
M!LK「時空超えてユニバース」
1stミニアルバム『LOVE ENG!NE』から先行配信された「時空超えてユニバース」は「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」に続く、“愛”をテーマにした3部作の完結編。華麗なストリングス、大迫力のホーンセクションを取り入れたラテンサウンドから放たれるのは、「愛こそ未来に進むための原動力」という熱くてエモいメッセージをたっぷり含んだメンバー5人の歌声。日常を“好き”のパワーで埋め尽くし、時間や空間を超越して宇宙空間を染め上げる。びっくりするほどの大スケールだが、それを誰もが楽しめるアイドルポップスへと結びつけるパワーが眩しくて仕方ない。どこまでもポジティブな全力ボーカルは、カッコつけないからカッコいいM!LKの本質そのものだ。(森)
ポルノグラフィティ「マスク・ド・カメロ」
アルバム『果実』収録曲のひとつで、今年4〜5月の『みんなのうた』(NHK総合)への書き下ろしでもある。ラテンのフレーバーをまとったJ-POPは「アゲハ蝶」などにも通じる得意技のひとつ。新曲であって新曲ではない、すでに馴染んだ代表曲のような耳馴染みのよさがある。面白いのは新藤晴一(Gt)が手がけた歌詞で、舞台はメキシコのプロレス・ルチャリブレ。父からレスラーの道を託された少年が、まずは善玉ヒーローを目指すも挫折、〈涙ともに生まれた El es マスク・ド・カメロ〉というヒール役になっていく、案外と切ない物語である。自身の心象や日常の風景を飛び越え、見事なファンタジーから大衆の共感を引き出す。これがポルノグラフィティの巧さだろう。(石井)
JO1「IGNITE」
11月に発売されるシングル『AAO』の1曲目で、アニメ『東京リベンジャーズ』三天戦争編(MBS/TBSほか)のオープニング主題歌となる新曲。作詞作曲を主導したのはBiSHなどでの編曲で知られる阿部コウヘイだが、作詞にはメンバーの木全翔也と河野純喜も参加。彼らにとっては初挑戦となるゴリッとしたロックナンバーで、激しいリフやドラムが入り乱れる中、何度だって立ち上がり戦う姿勢を表現している。バンドと違うのは当然コーラスワークの豪華さで、ユニゾンで雄叫びを上げたり、めくるめくマイクリレーを見せたり、激しさを体現する傍らで美しいロングトーンを聴かせるなど、大所帯グループならではの歌唱が楽しめる。(石井)
玉置浩二・ASKA「音銀河」
1980年代から40年以上にわたって音楽シーンのど真ん中で存在感を示し、今もなお圧倒的なボーカル力と特異なアーティスト性によってファンを魅了し続ける玉置浩二とASKA。以前から深く交流してきた両者のコラボレーションがついに実現した。今年3月に放送された番組『玉置浩二ショー』(NHK BS)で初披露された「音銀河」は、フォーキーな手触りと壮大なオーケストレーションがひとつになったバラードナンバー。ダイナミックな起伏に富んだメロディを玉置とASKAが気持ちよく、全力で歌い上げる。ただそのことだけで、得も言われぬ感情に包み込まれてしまう。〈いつもこの世は愛しかないから〉というフレーズをこんなにも堂々と響かせられるのは、どう考えてもこのふたりしかない。(森)
LEE JISOO「MISMATCH」
HANAのJISOOが自身の誕生日である9月8日、メンバーの先陣を切ってソロデビューを果たした。1stシングル表題曲「MISMATCH」はウクレレと歌から始まり、力強いビートと鋭利なギターを軸にしたトラックへと移行するドラマティックな楽曲。英語と韓国語によるリリックには、欠点や不器用さを認め、自分らしく生きていく姿が描かれている。理想と現実のミスマッチを抱えながら、それでも自分を肯定しようとする意思をリアルに反映したボーカルも感動的。韓国で撮影されたMVを含め、彼女自身のルーツとスタイルが率直に表現されているのだ。出自を誇り、それを楽曲とパフォーマンスに直結させたこの曲は、聴く者すべてに刺激と勇気を与えることになるだろう。そう、あなたはあなたのままでいいのだと。(森)



























