Creepy Nuts、Cornelius、sumika、BOYNEXTDOOR、超ときめき♡宣伝部、Midnight Grand Orchestra……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、Creepy Nuts「Running Wheel」、Cornelius「まざらない」、sumika「Umm」、BOYNEXTDOOR「Boom Boom Boom」、超ときめき♡宣伝部「大盛りハッピー」、Midnight Grand Orchestra「Hyper Vip」の6作品をピックアップした。(編集部)
Creepy Nuts「Running Wheel」
Honda「N-BOX CUSTOM」新CMソングとなる書き下ろし新曲。低音シンセのループを強調したトラックは相当ドープ。いくらでもクールになりそうな曲だが、そこに乗るのは、地声とはまた別のガナリ声で妙に下世話な大阪弁を放つR-指定だ。古い例でダウンタウンと坂本龍一によるGEISHA GIRLSを思い出したが、言うなればスキルなき芸人が勢いだけでラッパーのフリをしている、みたいなスタイルをあえて模したのだろう。ものすごく面白いが、当然笑いを狙った曲ではなく、先日の『Coachella Valley Music and Arts Festival 2026』出演経験も含めて〈踊り明かして気づけば高い壁/崩れとったわ〉という彼らの現在地が威風堂々と歌われている。アイデアも結果も、これは文句なくカッコいい。(石井)
Cornelius「まざらない」
『Mellow Waves』(2017年)、『夢中夢 -Dream In Dream-』(2023年)と自らの心象風景を映し出すような作品を経て届けられた、色とりどりで軽やかな手触りのニューアルバム『Refractions』の2曲目に収められた「まざらない」は、抑制と洗練を効かせたファンクサウンドの中で、どこか淡々としたメロディが広がっていくミディアムチューンに仕上がっている。細部まで美しくトリートメントされたグルーヴがあまりにも気持ちよく、つい何度もリピートしたくなるのだが、その中毒性を増幅させているのが盟友・坂本慎太郎による歌詞。〈まざりたい まざれない〉のリフレインは現代への批評であると同時に、安易な連帯を許さない厳しさも感じられて、そこから立ち上がる孤独もまたなぜか心地よい。(森)
sumika「Umm」
『みんなのうた』(NHK総合)8~9月で放送中の書き下ろし新曲。都会的なソウルナンバーで、ふと流れてきた時の耳触りは心地よくセクシー、しかしよく聴けば変態的なアレンジが随所に顔を出す意外な境地である。タイトルは「うーん」と読み、AとBで選べない、もしくはどちらかを選べば線を引かれてしまう今の世の中に対するさりげない問題提起でもあるのだろう。さりげない、というのがポイントで〈パンもご飯も食べちゃいたい〉と〈右じゃない 左じゃないから〉という歌詞を並列で並べるのが片岡健太(Vo/Gt)だ。また、鍵盤やホーンなど上モノが目立つsumikaには珍しく、この曲ではベース音が強調されている。低音の動きを追うだけでも楽しい。(石井)
BOYNEXTDOOR「Boom Boom Boom」
ジャズの雰囲気をたたえたピアノの旋律、強烈なアタック感としなやかなグルーヴを共存させたビートが鳴った瞬間、心と身体が自然と沸き立ってしまう。初のワールドツアー『BOYNEXTDOOR TOUR 'KNOCK ON Vol.2'』を開催中のBOYNEXTDOORから届けられた日本オリジナル曲「Boom Boom Boom」はオシャレでかっこいいダンストラック。メンバー全員のボーカル、ハーモニー、ラップが刺激的に絡み合い、一瞬たりとも耳を離せない刺激に溢れている。〈一瞬一秒刻め boom boom〉に象徴される、この瞬間を生きろというメッセージを感じさせる歌詞も印象的。〈ともに分かち合った瞬間(とき)は/消えない〉というラインは、メンバーとONEDOOR(ファンネーム)の関係ともリンクしている。(森)
超ときめき♡宣伝部「大盛りハッピー」
9月に発売されるシングルからの先行配信。作詞作曲/編曲は-amazuti-の安部大希と宮崎諒、同グループにSNSバズをもたらした“超最強”のタッグである。あの曲の路線を確信犯的に押し進めたハイテンションな一曲で、膨大な歌詞とセリフは、要約するとすべて、とにかく私をかわいいと言って! もっと褒め言葉をちょうだい! のメッセージになる。恋愛ソングとは似て非なる完全セルフラブソング。勘違いでもサービスでもいいから自己肯定感を高めていけ、という姿勢はどこかパンク寄りと言ってもいいかもしれない。だからこそ、かわいさの定義が〈ラブリー〉〈プリティー〉など定型文ばかりなのは気になる。もう少し多様な視点があってもいい。(石井)
Midnight Grand Orchestra「Hyper Vip」
バーチャルアイドルの星街すいせいとサウンドプロデューサーのTAKU INOUEによるユニット・Midnight Grand Orchestraの1st EP『Travelogue I』収録曲。まず印象に残るのは、ゴージャズなオーケストラサウンドと研ぎ澄まされたダンストラックを融合させたアレンジメント。古き良きポップミュージックと近未来の音像が有機的に結びつき、懐かしさと新しさ、鮮烈な刺激と温かい解放感が同時に押し寄せてくる。軸を担うのはもちろん星街のボーカルだ。ダイナミックに展開する旋律を完璧に乗りこなし、〈もっと もっと 夢を見せて〉というリリックを躍動させる歌声はやはり唯一無二。現代のポップシーンを代表する才能同士がスパークする、この瞬間をもっともっと味わいたいと願う。(森)



























