INI、&TEAM、=LOVE、milet、斉藤和義、OddRe:……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、INI「BEYOND THE SKY」、&TEAM「For us」、=LOVE「恋、はじめました。」、milet「Hurricane」、斉藤和義「黒猫のタンバリン」、OddRe:「黄泉還」の6作品をピックアップした。(編集部)

INI「BEYOND THE SKY」

 9月にリリースされるシングル『ANTHEM』からの先行配信であり、アジア競技大会/アジアパラ競技大会『Aichi-Nagoya 2026』大会応援ソング。アスリートたちの熱量に相応しいロック調、というより本気のハードロックナンバーで、ダイナミックなドラムでボトムを支えているのはMY FIRST STORYのKid’zである。疾走するAメロ、サビ手前の思わせぶりな抑制、そこから爆発するメロディと一体感を煽るコーラス。これで盛り上がらなきゃ嘘だろという展開は、ベタではあるが、変にスカしていたら逆に興醒め。真正面から曲の世界観に向き合い、後半はそれぞれの声質や得意技を活かしたマイクリレーで畳みかける、INIのプロ仕事がお見事。(石井)

BEYOND THE SKY

&TEAM「For us」

 &TEAMのJOが初主演を務める映画『ワンダンス』主題歌。吃音が原因で引っ込み思案だった主人公がダンスに出会い、新しい希望を見出す。そんなストーリーとも重なる「For us」は、しなやかなグルーヴと鮮やかなアタック感が響き合うトラック、そして内なる感情を解放し、未来への希望を高らかに鳴らすようなボーカルがひとつになった楽曲に仕上がっている。楽曲の軸を担っているのは、〈未完成だっていいんだ/自分なりの answer〉というフレーズ。周りの評価やすでにある価値に頼るのではなく、まずは自分だけの答えを見出し、そこに向かって進んでいく。そんなスタンスを込めたこの曲は、日本発のグローバルグループを掲げる&TEAMの軌跡とも確かにつながっている。(森)

For us

=LOVE「恋、はじめました。」

 21stシングルの表題曲が先行配信。作詞はプロデューサー・指原莉乃、作曲はGENICのメンバーでもある小池竜暉。アイドルの何たるかを熟知した作家陣ゆえ、まさに=LOVEの若さといじらしさが100%引き出されたアイドルソングが完成している。恋の始まりを〈キュンてなった〉と表現する冒頭はそれなりによくあるが、〈ぷるんてなった 私のハート〉と続けるのは、あざとかわいいオノマトペテク。〈ちょっと重いよね この気持ち〉と不安をこぼした後に〈「気付いてないのかにゃ?」〉という語尾を持ってくるのも完璧である。テンションを加速させるBPMでありつつ、トンチキ系になってしまう手前でかわいくまとめたアレンジも好感度が高い。(石井)

恋、はじめました。

milet「Hurricane」

 強靭なビート、重厚なギターサウンド、深遠なストリングスの音色、壮大なスケール感をたたえたメロディとともに放たれるのは、〈I've always lived against the wind〉(私はいつも風に逆らって生きてきた)というリリック。約3年ぶりのオリジナルアルバム『Made of Glass』からいち早く届けられた新曲「Hurricane」には、現在のmiletの心境と態度が明確に表れている。昨年4月から約4カ月の活動休止を経て、アーティストとしてリスタートした彼女。そのなかで感じたであろう葛藤や不安を糧にしながら、miletは以前よりもさらに奥深く、力強い歌を響かせ始めている。人生を嵐に喩えた「Hurricane」を聴けば、そのことを強く実感してもらえるはず。その過程を含め、じっくりと味わってほしいと思う。(森)

milet「Hurricane」Lyric Video

斉藤和義「黒猫のタンバリン」

 9月9日リリースのニューアルバム『日常Days』から先行配信された「黒猫のタンバリン」はオーセンティックなロカビリー、流麗でクラシカルなストリングスを融合させ、危うく、激しく、狂おしい世界観を描き出している。そのなかで歌われているのは、今の社会に対する思いが感じられる歌詞。ゆっくりと沈んでゆく泥船に乗ったまま正体のない何かに見張られ〈言ったもん勝ちの出鱈目〉に振り回される姿を描いたリリックには、シニカルな風刺がしっかりと効いていて、気持ちよく身体を揺らしながらもどこか空恐ろしい気分に導かれる。この絶妙なバランスはまさに斉藤和義の真骨頂。斉藤、玉田豊夢、山口寛雄、総勢10名の美央ストリングスが参加したレコーディング映像もぜひ。(森)

斉藤和義 - 黒猫のタンバリン【Recording Movie】

OddRe:「黄泉還」

 昨年以降、出す新曲がことごとくバイラルチャートで注目される3人組バンド。これまではライブを前提としたロックスタイルの曲が多かったが、今回は意表を突くバラード。打ち込みと生楽器がシームレスに溶け合ったサウンドは幻想的、メロディは震えるほど切なく、AirA(Vo)の掠れ気味な歌声もたまらない。初めて聴くのに「そう、こういうのが聴きたかった!」と号泣したくなる大名曲の誕生だ。日本語なのにあまり言葉が入ってこないのは、響きだけでなく、〈just staring at忘れぬこと〉の「わ・す・れ・ぬーこと」のような譜割りも関係しており、これは明らかに宇多田ヒカルの影響だろう。R&Bをこんなふうに換骨奪胎できるSOI ANFIVER(Gt/Composer/Trackmaker)の才能に慄く。(石井)

黄泉還

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