LET ME KNOW、確たるコンセプトと“裏切り”の新しさ 試行錯誤の先に生まれた「Law of Luv」を語る

2024年1月に本格的に始動して以来、SNSで多くのフォロワーを獲得、日本だけでなく韓国のバイラルチャートでも大躍進を見せるなど、まさにブライテストホープとして注目を集めている3人組バンド LET ME KNOW。「ノスタルジックモダン」をキーワードに、80年代のニューウェイブやインディーロックのサウンドにモダンなセンスを掛け合わせた楽曲は、次々と新たな表情を見せリスナーを驚かせ続けている。
今年も精力的にリリースを重ねてきた彼らの最新曲「Law of Luv」は、そんな彼らのユニークなバランス感覚がより際立つ1曲。活動を続ける中でバンドの個性を確立させてきたLET ME KNOWの現在地がここには詰まっている。12月には韓国(追加公演も決定!)、そして1月には東京でのワンマンライブも控えるMatty(Vo)、Ken_M(Gt)、Lyo(Dr)の3人に、最新曲の手応えと来年に向けての意気込みを語ってもらった。(小川智宏)
“ノスタルジックモダン”であり続けながらも絶えず求める変化
――この1年、LET ME KNOWはライブもリリースもたくさん重ねてきました。その中でライブのお客さんやリスナーからリアクションを受け取ってきたことは曲を作る上でも反映されていますか?
Matty:受け取ってもらう側を驚かしたいとか、「またちょっと違うことやってるんだ」みたいなワクワクを感じてもらったりとか、いい意味で期待を裏切りたい気持ちはありますね。
――本当に曲を出すごとに違う顔を見せてくれますよね。そこは結構狙ってるところもあります?
Matty:そうですね。自分自身も新しいことをどんどん取り入れていきたいタイプなので、そこは意識しています。
――そういうアイデアは曲を書いてる時点ですでに出てくるんですか?
Matty:作りながら、話し合いながらですね。「こういうことやってみようか」とか「こういうのがいいんじゃない?」とか。アレンジは大変だと思うんですけど、僕は結構わがまま言わせてもらってる感じで。そのあたりはKen_Mはどうですか?
Ken_M:1曲アレンジしたら、それが次にも潜在的には活かされてると思うんですけど、結構また初心者に戻った気持ちになるというか。前回と同じ音をそのまま流用しようみたいなのはあんまりなくて、毎回、自分なりにこの曲に対してどれがベストな音作りやフレージングなんだろうっていうのを考えて作ってますね。

――そこが面白いところですよね。バンドって、原曲の段階で新しいアイデアを詰め込んでも、バンドでアレンジをする中でどこか似通った部分が出てくるというのが自然だと思うんですけど、LET ME KNOWの場合はそれがあまりない。
Matty:そうですね。そうあり続けたい気持ちはあります。
Lyo:変化はありつつも「ここは変わらない」っていう部分は絶対にあって。たとえば「ノスタルジックモダン」というコンセプトを掲げているので、「この部分は80年代で、ここはモダンにしよう」とか、そういった芯になる部分があるんですよね。例えば今回はギターやシンセの音が80年代っぽいからドラムはモダンな音にしよう、みたいなレイヤーの仕方とか。そういう芯となる部分がしっかりあるからこそ作れているのかなっていうのは感じますね。
――そのバランス感は、言わなくても自然とそうなっていくのか、それとも議論や試行錯誤をしながらできていくのか、どのような感じなんでしょう?
Lyo:自然とそうなる場合もあります。でもアレンジしている中で「ここにはこういった要素があったほうがコンセプトの通りになるよね」みたいな会話はしますね。

――直近の「Sentimental Night Dive」とか「Remember Summer Love」を聴いていると、まさにその「ノスタルジックモダン」というコンセプトがしっかり確立されてきている感じがします。曲としての強度が増した気がするんですけど、自分たちとしてはどうですか?
Matty:まだ走ってる最中なので、その途中で「俺ら進化してるな」みたいな感覚はなくて本当に目の前の1曲1曲に全力で向き合っている結果、そういうふうに言っていただけるのはすごく嬉しいですし、こういう瞬間に「そういう見られ方をしているんだ」っていうのは実感しますね。
――よりポップスとしての強さが増したような気がします。
Ken_M:確かにコード進行とかも相まって、結構聴きやすい曲にはなっていると思いますね。とは言いつつ、あまりありきたりなアルペジオのパターンにしないとか、「この雰囲気のメロディに対してこういうアレンジはあまりないな」とか、いろいろ考えてやってますね。
――ベタを恐れない部分と、でもベタになりすぎちゃうと面白くないから、違う要素を足していく部分のさじ加減が絶妙ですよね。
Ken_M:そうですね。感覚の話なので言語化するのは難しいですけど、アレンジでは、自分が思うダサい方向に行きがちな曲をどうやってクールにするのかっていうのを考えますね。

「Law of Luv」は「これまでで一番というくらい難航した」
――曲を書く段階で、Mattyさんの中には完成形のイメージがあるわけじゃないですか。それが3人でやることによって変化していくのは、ソングライターとしてはどんな感覚なんですか?
Matty:デモの段階でイメージしてるものを、実際にアレンジしてもらったときに「なんか違うかも」みたいなことはありますが、そこを話し合って……やっぱりそれぞれイメージが違うので難しくはなるんですけど、自分が持ってないアイデアとか考えが飛び交うのは、いいものを作る上ではすごく大切なのかなとは思いますね。やっぱり意見もぶつかるし、大変は大変なんですけど、結果的にその繰り返しでどんどんよくなっていくのかなと。今回の「Law of Luv」も、「これはスムーズに進むだろう」みたいなテンションでやってたんですけど、結局これまでで一番というくらい難航して。
――そもそもMattyさんの中では、「Law of Luv」はどういうイメージで作っていたんですか?
Matty:ギターを弾いていたらたまたまメロディと歌詞がパッとできて「いいね」ってなって、もうそのまま。最初はがっつりUKみたいなイメージで作っていた感じでしたね。
――それをKen_Mさんが受け取ってアレンジしていったわけですよね。
Ken_M:そうです。だから単純に、ギターロックみたいな感じは確実に合うなと思って作ってみたりはしたんですけど、それだとやっぱりありきたりすぎて、違う視点で骨太なパターンやちょっとサイケデリックな方向も試したり、いろいろやったんです。でもどれも全員が納得する形にはならず。そうやって試行錯誤する中でフレーズが生まれていきました。「ここは使えるな」とか「ここは捨てよう」というのを重ねながら今の形になったので、苦労はしたけど全部無駄じゃなかったなっていうのはありますね。
――なるほど。これは本当にクラシカルな、名曲然とした佇まいを持った曲だと思うんです。でもおっしゃるように、いろんな要素が実は隠れていて。色が何層にも塗り重なっているような曲になっていますよね。一言で表せない味の複雑さみたいなものが、この曲の面白さだなと思います。
Ken_M:確かに。
Lyo:試行錯誤した結果というか、おっしゃってくださったようにいろいろな要素が見える、多くのジャンルがクロスオーバーした曲になったなというのはすごく感じています。

Matty:僕はすべては“自分の耳”次第だと思ってるんですよ。単純に聴いていいか、よくないかっていうので、「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃないか」という意見は出しましたね。自分の感覚や判断を信じて。
――その結果、でき上がった完成形についてどんな印象ですか?
Matty:めっちゃよかったです。ギターのフレーズもいいなと思いますし、ドラムの音もいいなと思いますし……あと、メロディに対するギターとかドラムとかベースが上手く合ったなという感じ。「あ、答え見つかったな」みたいな感覚はありましたね。
――たぶんこの曲って、LET ME KNOWじゃなかったら絶対この音にならないと思うんですよ。
Matty:ああ、それはめっちゃ思います。
――普通にやったら普通にいい曲になる、というものだと思うんです。でもLET ME KNOWはそれじゃ絶対に満足できないんだな、オリジナリティを持ったこだわりと目指すものがあるんだろうな、というのをよく表した曲になったと思いますね。
Matty:ありがとうございます。
























