音楽で届ける“KUROMI”という生き様 玉屋2060%、こやまたくやら集結 EP『HYPER KUROMISM』全曲徹底レビュー

音楽で届ける“KUROMI”という生き様

 若い世代の女性を中心に絶大な人気を誇るクロミがアーティスト・KUROMI名義による1st EP『KUROMI IN MY HEAD』で昨年10月にメジャーデビュー。真部脩一、Daoko、ケンモチヒデフミ、かいりきベア、重盛さと美、lilbesh ramkoが手掛けた5曲は、KUROMIの等身大のメッセージを伝えてくれた。そして、第2作となる2nd EP『HYPER KUROMISM』が、6月24日にリリースされた。制作陣として集結したのは、こやまたくや(ヤバイTシャツ屋さん)、北澤ゆうほ(Q.I.S.)、玉屋2060%(Wienners)、小宮颯斗(Trooper Salute)。編曲をTAKU INOUE、奥野大樹、Rockwellが手掛けている。KUROMIが初めて作詞に挑戦した楽曲「DETARAME」も要注目。“誰もが自分史上最高の自分を目指せる世界”を作るために音楽を通してメッセージを広げるKUROMIの姿をあらためて印象づける作品だ。収録されている5曲を紹介する。

love me, love me now

KUROMI 「love me, love me now」Official Music Video

 クロミの公式プロフィールには、“自称マイメロディのライバル”“黒いずきんとピンクのどくろがチャームポイント”と書かれている。これらが示す“ワルぶっているキュートさ”をキャッチーに浮き彫りにしているのがこの曲だ。ライブで盛り上がる音楽のツボを心得ているこやまたくやが、ソングライティングのスキルをアイドルソング的な切り口で発揮している点も要注目。ファンが全力で参加できるポイントがアイドルソングには欠かせないが、この曲にはコール、手拍子、PPPHができる部分が絶妙に盛り込まれている。キラキラした照明を浴びながら歌って踊る推し・KUROMIに客席から愛を届けているファンの姿をイメージできる。なかなか素直になれなくて、ひねくれたことをしてしまったりもするけど、本当はみんなから愛されたい――この曲から伝わってくる心情に触れると、KUROMIのことが愛おしくなる。KUROMIの「MI(ミ)」を効果的に散りばめてノリの良さを加速している歌詞、サイレンの音など、言葉遊びと音遊びでもたっぷり楽しませてくれる。

BLACK×DECO×FUTURE

「BLACK×DECO×FUTURE」from KUROMI 東名阪 Zepp TOUR 2026「KUROMI IN MY HEAD」

 休止中の3人組ロックバンド the peggies、2023年8月から始動したソロプロジェクト Q.I.S.での活動のほか、さまざまなアーティストへの楽曲提供、映画・CM・アニメ・番組挿入歌なども手掛けている北澤ゆうほ。日常生活に根差したリアルを刻み、幅広いリスナーの心情と重なる曲を生むことに長けている彼女は、さまざまな作品のキャラクターの胸の内にあるはずの想いも浮き彫りにしてきた。「BLACK×DECO×FUTURE」も、多くの人々の共感を呼ぶだろう。ラップ的な歌唱法を盛り込み、リズミカルに言葉を溢れ返らせる歌詞は、KUROMIの気持ちを存分に表現していると同時に、リスナー一人ひとりにも想いを力強く投げかける。〈わがままって最強の魔法じゃん〉は、ありのままの自分でい続けることを全力で肯定するキラーフレーズ。ループするかのような構造の〈アタイはアタイで/アタイはアタイよ/アタイはアタイで/アタイはアタイを〉のグルーヴィーなフィーリングは、ほかの誰でもない自分自身を生き抜く決意を固めるおまじないのように響き渡る。「KUROMIの歌」が「あなたに贈る応援歌」にもなっている曲だ。

WANNA BE KUROMI

 自身のバンド Wiennersのほか、さまざまなアイドルグループなどへの楽曲提供でも活躍している玉屋2060%。でんぱ組.incの「でんでんぱっしょん」、CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」など、ヒット曲を世に送り出しているが、「WANNA BE KUROMI」の仕上がりも強力極まりない。カッチリとしたノリの打ち込みビート、シンセサイザーの華やかな音色を効果的に活かしたサウンドはテクノポップ風味。歌っていると口が気持ちよくなる言葉を次々と重ねながらリスナーの昂揚感を誘うのは、“玉屋2060%節”とでも言うべきポイントだ。聴き始めたらすぐにウキウキモードのスイッチが入ると思うが、〈ワナビー フォロミー 世界は君を/カワイイ クロミ うつした鏡〉辺りに差し掛かると、飛び跳ねて踊りたい気持ちを抑えられなくなる。そして、KUROMIはKUROMIとして、あなたはあなたとして生き抜くことを誓い合う曲でもある。誰かを羨む気持ちを抱くのは自然なことだが、どんな人もその人以外の何者にもなれない。自分にしか務まらない自分自身の人生の主役として最大限に輝く気持ちを、KUROMIの歌は後押ししてくれる。

DETARAME

 I'sを経て、現在は愛しておくれで活動している中山卓哉(Vo)が作曲。そして、KUROMIが作詞に初挑戦し、抱いている想いがストレートにリスナーへと放たれる。描かれているのはKUROMIの生き方の信条、“生き様”とでも称すべきKUROMIスタイルだ。主要なモチーフは、タイトルにも掲げられている「DETARAME」。「DETARAME=でたらめ」という非常にわかりやすく、キャッチーでもあるワードを用いているが、込められている真意は、でたらめが文字通り意味する“いいかげん”“場当たり的”“適当”の正反対。予定調和に陥ることなく、瞬間のひらめき、沸き起こる衝動に忠実なまま、心が動かされる方向へと進む姿勢を示している。それは、“ひたむき”“凛々しい”“雄々しい”と言い換えることもできるのだろう。〈予想通りも一種の裏切り/そんなのポップじゃないからね〉は、規格外の個性を持っているKUROMIが抱くプライド、ファンを楽しませることへの情熱を感じる印象的なフレーズ。KUROMIの魅力のなかに、「かっこいい!」も含まれるのだと、この曲を聴くと気づくことができる。

LOOK AT ME

 名古屋発、シンフォニックインディロックバンド Trooper Salute。昨年、『FUJI ROCK FESTIVAL '25』に出演。『EIGHT JAM』(テレビ朝日系)のプロが選ぶ「2025年の年間マイベスト10曲」で川谷絵音が紹介したことでも話題となったこのバンドの小宮颯斗(Key)が作詞作曲。公式プロフィールに「イケメンがだ~い好き。」と書かれているKUROMIの恋模様を想像させてくれる曲だ。勝ち気で強気な言葉の狭間から、時折、隠しきれない恋心が零れ落ちるのは、公式プロフィールで推測されている「乱暴者に見えるけれど、実はとっても乙女チック!?」の「?」を吹き飛ばしそうな雰囲気も漂わせる。そして、〈アイツ〉に対して〈ドキドキ 好きにさせる!〉という気持ちを抱きつつも、恋の成就を焦るのではなく、少しずつ互いの距離を近づけるのを楽しんでいるのが窺えるのも微笑ましい。イラスト化してみたくもなる不思議なフレーズ〈バクの背中でまどろみ中〉〈バクの背中で詮索中〉は、なんだかとてもKUROMIらしい。ふと口ずさみたくなるメロディも満載しつつ、洗練されたポップチューンに仕上げられている。

 メロディ、ハーモニー、リズム、歌詞、音色など、多彩な要素を通じて表現者の心に触れられるのが音楽だ。今作『HYPER KUROMISM』のKUROMIの歌も、クロミの姿をさまざまな角度から感じさせてくれる。自分らしく生きる意志を示す5曲は、たくさんのリスナーの勇気にも繋がるだろう。参加したクリエイター陣は、KUROMIを輝かせるために腕を大いに振るっている。胸躍る音楽体験にもなるはずだ。

ジャケット写真
『HYPER KUROMISM』

■リリース情報
『HYPER KUROMISM』
配信中
配信リンク:https://tf.lnk.to/HYPERKUROMISM_STDL

<収録内容>
1. love me, love me now
2. BLACK×DECO×FUTURE
3. WANNA BE KUROMI
4. DETARAME
5. LOOK AT ME

■関連リンク
公式サイト:https://kuromi.sanrio.co.jp/artist/
X:https://x.com/kuromi_staff
TikTok:https://www.tiktok.com/@kuromi_project
YouTube:https://www.youtube.com/@kuromisanrioofficial6829

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