Zeebra×STUTS×MaRI鼎談 「男だけの世界じゃなくなった」“女性ラッパー”を取り巻くHIPHOPシーンの現状と課題

Zeebra×STUTS×MaRI 特別鼎談

方針は“学校スタイル”ーー「サディスティックにしたいとは全く思ってない」(Zeebra)

STUTS、MaRI、Zeebra

ーー現時点で、すでに応募動画などチェックされていますか?

Zeebra:俺らはまだ全然見せてもらってないよね。

STUTS:気になりますよね。曲を作るのって楽しいので、僕は単純に「このビートで歌ってみたいからやってみよう」という気軽な気持ちでもいいと思っています。

MaRI:みんな恥ずかしがらずに応募してほしいし、曲が完成した時の、あの達成感も味わってほしいなって思います。

STUTS:自分自身も15、6年前はビートメイクのコンテストに参加したこともけっこうあったんですよ。今の時代、自分一人で制作することもできるし、周りの仲間たちと一緒に上がっていく、ということが前よりもできる時代になりましたけど、世の中から見つかるのって、やっぱり運とか環境も大きな要素だなって思うんです。自分もずっと「いいビート作ってるのになあ……」と感じていたので、同じように感じている人にとってもいいきっかけになればと思っています。

Zeebra:こういう風にプロデュースしたら絶対に上手くいく、っていうやり方もないわけだし、チャンスがあったらどんどんつかみに行ってほしい。今、マイクを握るか握らないかで大きく未来が変わってくるかもしれないしね。

ーー地上波のオーディション番組って、挑戦する応募者の極限の様子をテレビカメラに映して、それをエンタメ的に演出するようなところもありますよね。そのあたり、『GOLDEN MIC』はどのように挑戦者にフォーカスしていくのかが気になります。

Zeebra:まずこの番組の方針として、学校スタイルという方針を取っていくのが一つの特色でもある。先生役は、俺です。他にも、実際にMaRIとかCharluにも講師として来てもらって、自分のことを話してもらうのがいいかなと思っています。なので、教えたり、学んだり、それを(チャレンジに)活かすというプロセスが入ってくる。だから、その中でちょっとそういう極限状態のところが出てくるかもしれない。たとえば、“制限時間内にリリックを書け”とか。その中で、でも、やみくもにサディスティックにしたい、とかは全く思ってない。

STUTS、MaRI、Zeebra

ーー応募者がカメラの前で泣いて……みたいな。

Zeebra:でも、限られた時間の中でプレッシャーのもと制作をしなきゃいけない、っていうことは、ラッパーであれば誰もが経験することだし、「だったらそれを頑張ってやってね」ということ。『フリースタイルダンジョン』もそうだったけど、誰かが泣けば、誰か笑う。うちの娘のRIMAも『Nizi Project』で泣きながらリリックを書いてたからね。もともと、ラップのリリックなんて全く書けなかったのに。だから、みんなが泣かないで済むとは思わない。

STUTS:時間制限などを設けるっていうのは、トレーニングとしてはいいと思います。基本的に僕は音楽作る時はどれだけ時間かけてでも自分が納得した形で完成させられることができればいいなと思っているのですが、必ずしも時間を掛けただけいいものができるとは限らないですし、時間制限ある中で作ったものが結果的にいいものになってたという場合もありますね。あと誰かとセッションする時とか瞬発力が求められる場面もあるなとも思います。地上波でヒップホップにフォーカスした番組でこういう形のプロジェクトはなかなかないので、観る方々も楽しんで観られるものになればいいですよね。

Zeebra:でも、根性論ってどう思う? 今、「根性がねえな」っていうとパワハラになっちゃうから。でも、あなたが仕事をする上で根性って必要じゃない?

ーーヒップホップのメンタリティにも、根性って通底するものだとは思いますが……。

STUTS:でも、自ら進んで根性モードになるのと、人から根性を強いられるのはちょっと違いますよね。

Zeebra:でも、(トップを目指すなら)根性って必要だと思うし、あと10年くらいしたらまた世の中が”根性”に戻ってくると思う。それで俺が炎上しちゃうなら、いくらでも燃える覚悟はある。

ーーヒップホップのオーディション番組だと、ABEMA『RAPSTAR』が不動の人気を確立している印象もありますが、『GOLDEN MIC』ならではの特色はどんなところにありますか?

Zeebra:さっきも話したように、学校形式で進んでいくところかな。もともと、ラップの授業みたいなことをちゃんとやりたいなと思っていて。もちろん、すでに分かっている子たちもたくさんいると思うけど、そうではない子たちがラップのテクニックを理解することでさらに良くなるってことはあると思う。これで16小節、そのあとが24、32小節で……って説明するだけで「あ、こういうふうに歌えばいいんだ」ってパッと分かる。それで、一気に上手くなったりするからね。もちろん、ヒップホップの歴史とかもちゃんと教えたいし、ヒップホップそのものを、多少は理解させたいって感じ。MaRIやCharluに自分のリリックを「こうやって書いたんです」って説明もしてもらいたいし。なので、こっちの番組はそうした学びの場として機能する部分があってもいいかなと思っています。

STUTS:アーティストがどういうことを感じながら曲を作っているのかとか、どういうことを考えながら制作しているのかを聞けるのは、すごくインスピレーションになりますよね。マインドの部分だけじゃなくて、テクニックの話を聞けるのも面白いし、そういうところって、これまでの音楽オーディション番組にはあまりなかった視点なのかなとも思いました。もちろん音楽に正解はないと思うのでそれを鵜呑みにすると言うよりは参考になればくらいの感じが良いかと思いますが。Zeebraさんは、長年日本のヒップホップのことを考えてシーンを形作ってきた方だと思いますし、そういう方から技術的なことだけではなく、ヒップホップの歴史やラップするうえで大事なこと、マインドのアドバイスまで聞けるのは、貴重な機会なんじゃないかなと思います。

STUTS、MaRI、Zeebra

ーーこの後の審査はどのように?

Zeebra:まずは最初の書類審査的な音源の審査があって、そのあとは毎回違う感じで進んでいくんだけど、やっぱりヒップホップはコラボも多いから、誰かと組んで二人一組で曲を作ってください、とか、そんな風に実践的な審査も含めるイメージかな。あとは合宿と。そのあと、優勝者には一発目のデビューライブみたいなものを一万人規模のところでやる、ということも決まっています。俺らも、優勝者が何を一番嬉しく思ってくれるのか結構考えたわけ。今の時代って、必ずしもメジャーデビュー、イコール成功ってわけでもないし。そうしたら、やっぱり「キャパがでかいところでライブできちゃうのが一番いいんじゃない?」って話になって。このプロジェクト自体が、優勝者のデビューまでを応援していこうという気持ちです。

ーーちなみに、女性にスポットライトを当てるオーディションということですが、制作チームの中にも女性はたくさんいらっしゃいますか? というのも、記者会見のお写真では、女性ラッパーのオーディションと言いつつ、中央に年長の男性が立っていて、当の女性ラッパーたちは両サイドに立っているという構図になってしまっている、という点も取り沙汰されていたので。

Zeebra:もちろん。放送作家さんは女性の方にも入ってもらっていて、彼女はこれまでに数々のオーディション番組を手がけてきた方でもある。そこは心配しなくて大丈夫ですよ。

STUTS、MaRI、Zeebra

ーー応募要項には“年齢、経験は関係ナシ”と書かれていて、たとえば、「前からラップしてみたいと思っていたけど昔は女性がラップで活躍する機会も少なくて」と思っているような女性にもどんどん応募してほしいなと思いました。

MaRI:私のところにも「41歳だけど、応募してみる」ってDMが来たんです。応募者の中には中学生や高校生もいるだろうし、一方で、その子たちの倍くらい人生経験があるような人も応募してくれたら、いい意味でバラバラだし、すごく楽しくなりそう。そんな人たちに対してMaRIが教えるっていうのも怖いけど(笑)。

Zeebra:そういう意味でも、新しい形のオーディションになるんじゃないかなと思います。

■番組情報
『GOLDEN MIC』
放送日:8月27日(木)24:59〜 毎週木曜日 日本テレビにて放送
※「Hulu」にて地上波未公開シーンを含む特別版を先行配信

参加エントリーは以下サイトまで。
https://goldenmic.jp/

出演者:
Project Organizer:Zeebra
Music Curator:STUTS
Project Crew:Producer…Chaki Zulu、KM
Rapper…Charlu、MaRI (アルファベット順)

製作著作:「GOLDEN MIC」製作委員会

公式X @GoldenMicJP:https://x.com/GoldenMicJP
公式TikTok @goldenmicjp:https://www.tiktok.com/@goldenmicjp

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