ミニマムジークが作り出す、驚きと喜びに満ちた“秘密基地” アルステイク、KALMAを迎えた『hiAツアー』初日レポ

ミニマムジーク『hiAツアー』初日レポ

 今年3月に1stミニアルバム『六季』をリリースしたミニマムジーク。彼らは現在、同作を携えた全国ツアー『hiAツアー』を開催中。5月1日から7月30日まで、全国15カ所のライブハウスをまわる。

ミニマムジーク ライブ写真

 この記事では、ツアー初日の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演の模様をレポートする。過去最大規模の会場でのライブで、ミニマムジークは、アルステイク、KALMAを迎えた。2000年生まれのメンバーを中心とした3ピースロックバンドによるスリーマンである。

 トップバッターのKALMAは、ミニマムジークの山之内ケリー(Vo/Gt)のリクエスト曲「雪のまち」からスタート。最新曲「春の魔法」も披露されたライブ前半では、季節の移り変わりや生活の変化、それに伴う心の機微を歌った曲を中心に届けた。そして「ふたりの海」を境に空気が一変。歪むベースリフが強烈な同曲から続く「ROOM」、さらに「ムソウ」にかけては、3人が楽器を掻き鳴らしまくる。これには観客も、拳やピースサインやドリンクのカップを掲げながら大喜び。MCでは畑山悠月(Vo/Gt)が、以前KALMAが新潟でワンマンを開催した際、山之内と同行者が整理番号の1番、2番を引き当てたのだと明かした。そこから時が経ち、今は同じステージに立つ仲に。畑山は「今日のような同い年とのスリーマンがあると、一生一緒に音楽をやりたいと思わせてもらえる」と語り、「次は俺らがこの2バンドを呼ばせてもらいます!」と宣言してからステージを去った。

 続いてはアルステイクが登場。彼らの織り成す軽快なサウンドに心を弾ませる観客は、1曲目から大きな声でシンガロングした。「俺たちがミニマムジークの戦友、岡山のアルステイク! お待たせしました!」と挨拶したひだかよしあき(Vo/Gt)は、今日は「勝ちたい」ではなく「いい日にしたい」「力になりたい」と思ったのだと語り、「でもそのやり方、一つしか知らないんです。どのバンドよりもいいライブをする!」と言い放った。ひだかはその場で浮かんだ言葉を紡ぐ弾き語りで、“ライブハウスに夢中になれているか”という問いを自身に突きつける。さらに、「ロックに騙されていることに気が付けないほど信じてる」の歌詞の一部を「ミニマムジークっていう新潟のバンドに出逢った日」と変え、ミニマムジークの存在がアルステイクを突き動かしてきたことを歌に刻む。熱量を増していく3ピースアンサンブル。心の炎を燃やしながら集まった観客に、そしてここからツアーへ出発する“戦友”にメッセージを届ける姿が印象に残った。

 そして、2組がもたらした熱気の残るステージにミニマムジークが現れた。演奏よりも先に、山之内の言葉が届けられる。今日がツアーの初日であること、クアトロのステージに立つのは初めてであることを伝えると、「見届けに来てくれてありがとうございます」と観客への感謝とともにライブをスタートさせた。

ミニマムジーク ライブ写真

 先述の通り、ミニマムジークのツアー史上最大規模の会場でのライブ。彼らにとっては挑戦の意味合いも強かったと思うが、1曲目から演奏はどっしりと力強く、クアトロの空気を存分に震わせていた。1年前のツアーと比較して、いつの間にこんなに頼もしくなったのかと驚かされる。3人は事前のインタビュー(※)で「緊張するかもしれないけど、それすらも楽しみたい」「不安よりも楽しみという気持ちが勝っている」と言っていて、その時も頼もしいなと思ったが、非常に堂々とした幕開けだった。

ミニマムジーク ライブ写真
山之内ケリー(Vo/Gt)
ミニマムジーク ライブ写真
鍋島ヤヒロ(Ba/Cho)
ミニマムジーク ライブ写真
オオサキケント(Dr/Cho)

 『六季』収録曲の一つで、2000年生まれのメンバーを中心とした3組が揃ったこの日のアンセムとも呼べる「millennium babies」の演奏が始まると、大きな歓声が上がった。音源がリリースされたのはつい2カ月ほど前だが、観客はしっかり聴き込んできているようで、イントロのギターリフにすぐさま反応。その後、オオサキケント(Dr/Cho)のみずみずしいビートが重なると「やっぱりこれだ」と言わんばかりに沸き、喜びが二段階で押し寄せている様子が見て取れた。思い思いに楽しむ観客の姿を見て「いいね」と笑顔を浮かべた山之内は、バンドサウンドの中で思いきり声を張る。2番サビ前、鍋島ヤヒロ(Ba/Cho)の見せ場を経てギターが鋭く鳴るシーンもバッチリキマった。

ミニマムジーク ライブ写真

ミニマムジーク ライブ写真

 「春の幻影」は、汗が飛び散るような全力疾走感と、3人が互いに食らいつき合うアンサンブルの熱量が痛快。「See you wonderland」のシャッフルビートは観客の体を心地よく揺らした。「ひだかも悠月も、楽しそうに歌ってたけど何か抱えてる顔してたでしょ?」「僕もそうです。上手くいくことばかりじゃない。みんなもそうだと思います」——そんなMCを経て届けられたのはバラード「泣きぼくろ」。〈忘れないで 忘れないで/眠れるまで忘れないでね/せめて私の傷が癒えるまで〉というフレーズは、この夜集まった全ての人へ向けられた。

ミニマムジーク ライブ写真

 この日のハイライトを担っていたのは、やはり『六季』の収録曲たちだった。同時にそれ以外の楽曲も惜しみなく披露され、曲と曲の間をバンドのアレンジが絶妙に繋いでいた。ある時は高揚感をさらに積み上げ、ある時はファンの意表を突き、驚きや喜びをもたらす。自らの手で、自分たちならではのライブを作り上げるお手製感を楽しみながら、そしてツアー先で出会える観客の表情を想像しながら準備してきたのだろう。そういったものがライブ全体から透けて見えて、愛おしく感じられた。

ミニマムジーク ライブ写真

 MCに入るや否や「楽しすぎる」と言った山之内は、「ここでゆっくり話すつもりだったけど、楽しすぎて、この熱を逃したくないって気持ちが勝っちゃってる」と、すぐに演奏を再開することを選んだ。演奏再開の直前に残した「簡潔に言うとね、俺、山で育ったんだけど、自分が作った秘密基地に友達がめっちゃ遊びに来てくれたような、そんな感覚です」という言葉が、この日のライブをそのまま言い表していたように思う。“秘密基地”はこれからさらに大きくなっていく。全国15カ所をまわる『hiAツアー』は、まだ始まったばかりだ。

ミニマムジーク ライブ写真

(※)https://realsound.jp/2026/03/post-2327611.html

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