Oo、THE DO DO DO's、aoni、ゲスバンド……ロッキン・ライフの「俺のイベントに出てくれないか!」第7回
2025年4月から不定期に連載している【招待状型連載コラム】「俺のイベントに出てくれないか!」。2025年は全6回にわたってお届けしてきたが、それでもなお、2026年に入っても推したいアーティストは尽きない。そんなわけで、第7回のコラムをはじめたい。
Oo
京都発のインディーロックバンド、Oo。2026年1月配信リリースの1st EP『家出』を聴いて、一発で惹かれた。このバンドのいちばんの魅力は、“空気ごと鳴らしている”ような音像にある。70〜80年代の日本のポピュラーミュージックや、ミツメやYogee New Wavesといった2010年代の東京インディーからの影響を感じさせつつも、そのどれとも違う温度感を持っている。気怠いボーカルと立体的なサウンドが、聴く者の頭の中にじわりと景色を浮かび上がらせるのだ。EP全体を通して、自然や地方の空気感が音に落とし込まれているような印象を受ける。タイトル曲「家出」は、しっとりとしたサウンドの中で不思議な浮遊感を生み出すし、「温厚」は柔らかく響かせるぬくもりのあるバンドアンサンブルが印象的で、そんな中に垣間見えるOoの核にあるノイジーさが痛快だ。おそらくライブでこれらの楽曲を体感したときの没入感は格別だろうし、ライブハウスという空間でこの音を浴びたいと思わせてくれるバンドである。
THE DO DO DO's
ベースレス3ピースバンド、THE DO DO DO's。このバンドのいちばんの魅力は、どっしりとしたサウンドと、抜群のメロディセンスのバランス感だ。歌はポップな手触りでありながらサウンドはローファイ、ロックンロールの骨格をしっかり持ちつつも、独自のアンサンブルで引き込む力がある。ベースレスという編成がゆえに生まれる独特の音の隙間が、楽曲にまた違った表情を与えているのかもしれない。2026年2月リリースの1stアルバム『MIRACLE』は全10曲。これまでのバンドの軌跡を詰め込んだ集大成的な一作で、歪んだギターサウンドが印象的な「Hold me baby,kiss!kiss!kiss!」をはじめ、バンドの魅力が凝縮された一枚だ。「Driver」の新しい手触りのガレージロックや、「わかりたい」の男女の美しいコーラスワークなど、このバンドならではの味わいが炸裂。音源の時点で、ライブで想像以上に化けることがはっきりと伝わってくるバンドだ。ぜひライブハウスで目撃したい。
aoni
2016年東京にて結成したオルタナティブロックバンド、aoni。グランジやハードコアにも精通するような渋いサウンドと、その中で確かな輝きを放つメロディセンスが、aoniの大きな魅力だ。それこそ、一瞬でバズを生むようなキャッチーさとは異なる形で自らの美学を研ぎ澄ませてきたタイプという印象で、荒々しさもあるのに美しさが垣間見えるのが、たまらない。2026年に発表された「CIRCULATION」や「lost」でも、そんなaoniの魅力が存分に発揮されている。「CIRCULATION」はライブ映えしそうなアグレッシブなビートメイクと、スマートでポップに響くボーカルの対比が絶妙。「lost」は約3分という短い尺の中で、ノイズとメロディが交錯することで、まるで大きなトンネルを走り抜けるような、どこかに迷い込んだときに感じるような、独特で不思議な高揚感を覚える。
ゲスバンド
橋本かずよし(Vo)を中心に活動するゲスバンド。2026年1月には、実に12年ぶりとなるフルアルバム『STANDING OVATION』をリリースした。全8曲の作品だが、一曲一曲の密度が異常に高い。冒頭の「たまんねぇ」はニューウェーブを彷彿とさせるビートロックで、一発目から心を掴まれる。「LOVE まともじゃない」は歪んだギターメロディが暴れまわるトリッキーな楽曲だし、「Vertical Suicide」は中毒的なビートメイクとインパクトのあるコーラスワークがたまらない。独自のユーモアを歌やサウンドに織り込んだり、歌詞の中にひねりの効いた視点で言葉を紡いだりするのもゲスバンドの大きな魅力。「ピストンベイビー」は、そんなユーモアがいろんな角度から溢れ出した代表曲と言えるだろう。“踊れるロック”を標榜するバンドはたくさんいるけれど、こんな形で“踊りたくなる”をアプローチをするバンド、他にはそうそういないと思う。ぜひダンスロック好きに目撃してほしい存在だ。
今回取り上げた4組は、それぞれまったく異なる音楽を鳴らしている。空気感のある音像、研ぎ澄まされたソリッドなサウンド、死角のない破壊的なロックの爆音、そして独自ユーモアの圧巻ダンスロック。共通しているのは、どのアーティストも自分たちの音楽に対する確信を持っていること。流行りに迎合するのではなく、自分たちが鳴らしたい音を鳴らしている。その姿勢に惹かれるし、だからこそライブでどう化けるのか見てみたいのだ。2026年も、まだまだ推したい音楽は尽きない。

























