チセツナガラ、夕方と猫、至福ぽんちょ、からあげ弁当……ロッキン・ライフの「俺のイベントに出てくれないか!」第6回
2025年4月から不定期に連載している 【招待状型連載コラム】「俺のイベントに出てくれないか!」。実際にライブとして実現するかどうかは今後次第ではあるけれど、まだまだ推したいバンドが多数いるので、第6回目のコラムを、はじめたいと思う。
チセツナガラ
2019年結成された大阪発の4ピースロックバンド、チセツナガラ。「愛とキャッチーを武器に毒づくラブリーチャーミーな4人組」を掲げ、独自のユーモアとキャッチーなメロディー、スリリングなアンサンブルでシーンを賑わせている。ライブハウスで切磋琢磨しつつ、近年はSNSで注目を集めることも増えており、日に日にその存在感を強めている。
バンドの代表作のひとつ「週刊少年アイラブユー」は、少年漫画風ジャケットとシニカルな恋愛批評が融合した意欲作。イントロのギターフレーズとリズミカルなビートが底のない中毒性を生む。「野良猫のストラット」もバンドの代表作で、踊るようなギターカッティングとグルーヴィーなベース、力強いドラムがダンサブルな興奮を届ける。最新曲「そうしてあなたは去っていくのね」は、小唄ぺこの伸びやかな高音ボーカルが印象的で、リズムワークのみならず、ボーカルでも大きなインパクトを与える。
夕方と猫
大阪発の4人組ロックバンド「夕方と猫」。2021年結成で“日常アウトサイダーポップバンド”を掲げ、ダンサブルかつダイナミックなアンサンブルで魅了する。
代表曲「日常侵略」はバンド外のサウンドも巧みに融合させながら、エッジの効いたフレーズを展開させて、アッパーに楽曲をもり立てる。「バカになっちゃいな」も複雑に展開するギターの音色の中で、シニカルに構成されたフレーズ群を鮮やかに歌にさせてみせる。「サイドキック」然り、「スーパーサイエンス」然り、バンドサウンドが中毒的で、そこにプラスアルファの音を取り入れるセンスが秀逸。さらに、カタカナワードやキラーフレーズの組み合わせ方もテクニカルで、文学的な響きを与えながらリズミカルに楽曲を展開させる点も魅力的。
このバンドにしかないセンスとバランス感で、多角的な要素での中毒性を浴びさせてくれるあたりがたまらなく、その注目度が年々増しているバンドだ。
至福ぽんちょ
愛知県発の3ピースバンド、至福ぽんちょ。切なくて破壊力がある痛快なギターロックで魅せていく。とにかく全速力という印象があって、まっすぐにロックンロールをかましていく気持ちよさが印象的だ。バンドの代表曲である「銀河橋」は、そんな至福ぽんちょだからこその魅力が詰まったナンバーである。りおんのボーカルは凛として表情豊か。そのため、するっと胸に入っていき、感情や想いを言葉にした歌詞が胸に残るのだ。
ライブのキラーチューンのひとつである「声明」、バンドの最新曲である「優しさ」でも、そんな至福ぽんちょの魅力が光る。そのうえで、ただパンチ力があるだけではなく、歌や言葉の中に機微や侘びを感じる繊細さもあって、寿司に入れるわさびよろしく、絶妙な温度感で歌を響かせる点が特徴。
また、エネルギッシュな楽曲が多いからこそ、「朝が来るまで」のように、切ないアルペジオが輝く切ないバラード調の音楽の破壊力もピカイチ。
からあげ弁当
2021年結成・関西発の4ピースロックバンド、からあげ弁当。陽気で泥臭い青春パンクを持ち味としており、ライブハウスでも大きな話題を呼んでいる。歌にも音にもパワーがあって、からっとしたエネルギーで満ちているからこその存在感だ。
「ぶっ飛べセンチメンタル」は、そんなからあげ弁当らしいサウンドの楽曲。シンプルながらも激しいアンサンブルで魅了する。その上で、メロディの強さもあって、歌そのものの魅力も際立っているのだ。「街を走る」「チキン野郎」でもパンキッシュなバンドらしい爆発力があって、ライブで大音量で浴びたくなる構成で駆け抜けていく。
とはいえ、一辺倒な音で魅せるバンドというわけではなく、「city」は洒脱なカッティングと余白を活かしたビートメイクで柔らかく歌を聴かせる。「戦」は戦国時代の景色を思い起こさせるような音使いから歌が始まり、パワーコードを重厚に聴かせるヘヴィなアプローチで展開させていく。
ライブバンドとしての存在感が絶対的でありつつも、年々バンドとしてのプレイスタイルがどんどん広がっている印象。だからこそ、このタイミングで、からあげ弁当の音楽に魅了されてほしいと感じる次第だ。
今回取り上げたバンドたちも、それぞれの魅力を持っている。まっすぐに勝負するバンドもあれば、技の多さで技巧的に魅せるバンドもいて。戦士タイプのバンドもいれば、魔法使いタイプもいて。でも、どれだけ多様的でも、その根本はギター、ベース、ドラムに集約されていくというところがバンドの面白さ。どのバンドもそれぞれの個性を研ぎ澄ませていて、どのバンドも「今」イベントに出てほしいと感じ、この記事を通して想いを伝えておく。


























