マカロニえんぴつが生む、オーディエンスの熱狂と大合唱 “理想のライブ”を現実にしたツアー東京公演

1月17日の埼玉公演から幕を開けた、マカロニえんぴつの全国ツアー『マカロックツアーvol.21 〜心を覗いてシラけるより、ことばのシワだけ増やしてゆけ篇〜』。その17公演目、ついにマカロニえんぴつが東京に戻ってきた。「戻ってきた」といっても、ツアー全体のスケジュールのなかでいえばまだ中盤。ライブ中のMCではっとり(Vo/Gt)も言っていたが、東京公演はツアーのファイナルに置かれることも多くて、それはそれでツアーを走ってきた充実感と達成感が表れるライブとなってよいのだが、この日、3月11日・東京ガーデンシアターのステージからはそれとはまたひと味違う、みなぎる感じがバンバン放射されていた。
もっともそれはスケジュールによるものだけではない。『physical mind』というアルバムがそうだったように、今のマカロニえんぴつは個々のメンバーの音のパワーも、当然それを掛け合わせたときのバンドとしてのパワーもどんどん高まっている。だから、すべての曲が、すべての音が、シンプルにガツンと届いてくるのだ。逆にいえばそれ以上のものはいらない。照明や映像はもちろんすばらしかったが、過剰にテンションを上げるような演出の類はなし、最後の曲の前の恒例になっていたはっとりの長いMC、通称“ポエティックモード”もなかったのはきっとそういうことなのだと思う。言いたいことは全部曲のなかにあるのだ。そんな、説得力のある歌と音で畳み掛けるストロングスタイルのライブは、最初から最後までとても濃密で頼もしかった。

そんなステージの火蓋を切って落としたのは「いつか何もない世界で」。はっとりはいきなり「トーキョー!」とシャウト。スタートと同時に一気に会場の熱は上がっていった。さらに続け様に「忘レナ唄」へ。ギターソロでは田辺由明(Gt/Cho)とはっとりが息のあったコンビネーションを見せる。ここでもはっとりは歌の合間にしきりに叫んでいる。勢い全開のこの2曲だけで、この日のマカロニが絶好調だということがわかった。そしてその絶好調ぶりは客席にも伝播する。「自由に歌ってってね!」というはっとりの声とともに突入した「レモンパイ」でこの日最初の大合唱が巻き起こると、その後もたびたび力強いシンガロングが東京ガーデンシアターを包み込んだのだった。




長谷川大喜(Key/Cho)のソロも華麗に決まった「poole」のアウトロではっとりが怒涛のフェイクとシャウトを聞かせると、ここで最初のMC。はっとりは威勢よく「有明アリーナ!」と呼びかける。ただ、残念ながらここは東京ガーデンシアターで、有明アリーナはお隣だ。ざわつく客席、そして高野賢也(Ba/Cho)が優しくその言い間違いを指摘してあげる。「有明……は合ってる? アリーナくらい盛り上がってない? っていう……」となんとか誤魔化そうとするはっとり。もちろん無理である。でも転んではただでは起きないのがこの男。「俺、なんかあったのかな、動揺してるのかな? 『はっとり、しっかりしろ!』」と最近話題になった例のフレーズを引用して「お騒がせしました!」と笑いを取るあたりはさすがだ。


もっとも、彼が伝えたいのはおもしろエピソードだけではない。「マカロニえんぴつは参加してほしいんです」とオーディエンスに呼びかけ、「ぜひ歌ってください。でけえ声で歌っていいから。はっとりは負けませんから、勝負しよう」と頼もしい言葉を発する。昨今いろいろと言われているなかで、あらためてロックバンドとしての自分たちのスタンスを明確にすると、「恋人ごっこ」からライブは再開。さっそく歌をオーディエンスに預けて、先ほどの話を有言実行してみせた。
ミラーボールがステージの天井から降りてきてキラキラと光を放った「月へ行こう」、そしてはっとりの伸びやかな声がステージを包むダイナミックな照明とともに広がった「NOW LOADING」を経て、長谷川のピアノから「なんでもないよ、」が始まる。オーディエンスのあたたかな手拍子がはっとりの歌を包み込む。そして最初のサビではまたしてもメインボーカルをオーディエンスに譲ったはっとりは、会場中にじんわりと広がった歌声に、「すばらしい!」と賛辞を送った。しかし褒めているだけでは終われない。先ほどのMCでもあったように、これは“勝負”なのだ。事実、次のサビではそのシンガロングを凌駕するほどの熱量と情感を帯びたはっとりの歌が堂々鳴り響いたのである。

ここからはアルバム収録曲が続いていく流れに。「ハナ」を経て、はっとりがブルースハープを弾き出す。そしてアコースティックギターの弾き語りで歌い始めたのは『physical mind』のラストに収録されていた「クレイジーブルース」だ。音源では最初から最後まで弾き語りだったこの曲が、バンドアレンジになってよりエモーショナルに届いてくる。さらに「きみは天使で」のドリーミーなサウンドを優しく届けると、オーディエンスはゆったりと音に身を委ねるように聴き入るのだった。
みんなが余韻に浸るなか、「やっぱり、ザワザワしないですよね」と静かなオーディエンスに声をかけるはっとり。そしてそのまま「今、いろいろ書かれるもんね」とライブのマナー問題に切り込んでいく。「でも、俺たちの思い描いているビジョンは、ライブはどんな会場であれライブハウスであってほしいという気持ちがあって。俺らは騒いでくれるほうが嬉しかったりします」。その後もとうとうと、コロナ禍を経てのマインドやカルチャーの変化について話し出す。「すっげえ喋るじゃん、今日俺」とセルフツッコミをしながらも、ここでも自分たちの理想のライブの姿をしっかりと伝え切った。その後はっとりはメンバー紹介のなかで恒例の“ロックスターポーズ”を決め、高野と一緒に“ロックスターパワ―”の塊を担いで客席にぶん投げたわけだが、そのくだりでも彼は絶好調。どれくらい絶好調かというと、長谷川が「今日、めっちゃ調子良よくない?」と感嘆したほどである。


そんな絶好調のまま、ライブは後半に入っていく。手始めに『physical mind』のなかで異彩を放つ「NEVERMIND」。サイケでヘヴィなムードを生み出すパワフルなバンドサウンド、そしてステージから放たれるレーザー光線。まさに“フィジカル”な重量感で、先ほどのMCで少し弛緩した空気を一気にビシッと整えていく。ベースにギターにキーボードに歌、メンバーそれぞれの個性が際立つ「化け物」を経て「カーペット夜想曲」へ。ここまでどちらかといえば派手さを抑える方向だった照明や映像が一気にカラフルに弾けて、会場の空気がガラリと変わる。曲中でのコール&レスポンスもバッチリ決まり、そこから間髪入れず「ロング・グッドバイ」の田辺のギターが爽やかな風を連れてくると、ライブもいよいよ終盤である。


「カーペット夜想曲」とは好対照なシンプルなライトがステージを照らし出すなか、ロックバンドらしい音像で掻き鳴らされる「然らば」、そしてアルバムの1曲目だった「パープルスカイ」、さらに「はしりがき」を経て、待ってましたの「ハートロッカー」が鳴り響く頃には、まさにはっとりが言うとおり“ライブハウス”のような熱が東京ガーデンシアターを席巻していった。熱狂するオーディエンスを前に「まだ歌えるか! 一緒に歌ってくれるか!」と語りかけるはっとり。そして彼が歌い出したのは「ヤングアダルト」だった。手拍子が鳴り響き、この日最大のシンガロングが生み出される。マカロニえんぴつが求める自由で騒がしいライブの空間は、同時にとてもあたたかな愛に満ちた場所なのだと、その光景は教えてくれるようだった。


「ミスター・ブルースカイ」を終えると、ついに最後の曲。ここでいつもなら長いMCで思いの丈を伝えていたはっとりだが、冒頭に書いたとおりこの日は違った。「伝わったか?」。その一言にすべての思いがこもっていた。「あなたがいるかぎり、マカロニえんぴつは胸を張って寂しくいれます。ありがとう、あなたが見つけた、マカロニえんぴつという音楽でした」。そして届けられたラストチューン「静かな海」。はっとりの孤独な心がそのまま記されたような歌が、満場の手拍子とバンドのサウンドでみんなのものになる。とても美しく、そしてとてもロックバンドらしい、最高の幕切れだった。

<セットリスト>
01. いつか何もない世界で
02. 忘レナ唄
03. レモンパイ
04. poole
05. 恋人ごっこ
06. 月へ行こう
07. NOW LOADING
08. なんでもないよ、
09. ハナ
10. クレイジーブルース
11. きみは天使で
12. NEVERMIND
13. 化け物
14. カーペット夜想曲
15. ロング・グッドバイ
16. 然らば
17. パープルスカイ
18. はしりがき
19. ハートロッカー
20. ヤングアダルト
21. ミスター・ブルースカイ
22. 静かな海
■公演情報
『マカロックツアーvol.22 〜いま、きみがすき!篇〜』
2026年10月3日(土)大阪・阪城ホール
2026年10月4日(日)大阪・大阪城ホール
2026年10月24日(土)福岡・マリンメッセ福岡A館
2026年10月25日(日)福岡・マリンメッセ福岡A館
2026年10月31日(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2026年11月3日(火•祝)東京・国立代々木競技場 第一体育館
2026年11月21日(土)宮城・仙台セキスイハイムスーパーアリーナ
2026年11月29日(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
2026年12月5日(土)東京・有明アリーナ
2026年12月6日(日)東京・有明アリーナ
2026年12月26日(土)愛知・日本ガイシホール
<最速先行受付>
オフィシャルファンサイト「OKKAKE」
〜2026年4月13日(月)23:59
<オフィシャル先行>
2026年4月5日(日)20:00〜4月20日(月)23:59
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